ノークリサーチは2012年6月13日、「2012年春の中堅・中小企業のIT投資指標」を発表した。これによると、中堅・中小企業におけるIT投資および経常利益のDI(景気動向指数)はいずれも2012年2月時点よりも改善し、徐々に回復基調に向かっていることが明らかになった。

2011年から2012年春にかけてのIT投資DIと経常利益DIの全体変化
2011年から2012年春にかけてのIT投資DIと経常利益DIの全体変化
出典:ノークリサーチ(2012年6月13日)

 調査対象は、年商500億円未満の国内民間企業1000社の経営層および管理職。IT投資DIは、今四半期以降のIT投資予算額が前四半期と比べてどれだけ増減するかを質問し、「増える」と「減る」のポイント差によって算出したもの。経常利益DIは前回調査時点と今回調査時点を比較した場合の経常利益変化を質問し、「増えた」と「減った」のポイント差によって算出した。

 年商規模別に見ると、IT投資DIは年商5億円以上-50億円未満の企業では7.5ポイントの下落になったが、それ以外の年商規模では2.0-7.5ポイント程度の改善となった。経常利益DIは、年商50億円以上-100億円未満の企業がほぼ横ばいだったのに対して、それ以外の年商規模では7.0-16.5ポイントの大幅な改善となった。

 「IT投資を増やす」理由で最も多かったのは、「業務効率を改善し、収益を向上させるためのシステム投資が必要」。一方、IT投資DIが悪化した年商5億円以上-50億円未満の企業に、「IT投資を減らす」理由を質問したところ、「IT投資の必要性は感じているが、管理/運用をする人材がいない」という回答が他の年商帯と比べて多かった。

 ノークリサーチはこの理由について「年商5億円以上-50億円未満においてもIT管理担当人材に関する悩みを抱える企業は多い」として、中堅・中小企業向けのITベンダーに対して、限られた人材でも導入や運用が可能なソリューションの提案を求めている。