携帯電話向けアプリケーションの企画やマーケティングを行うjig.jpは,携帯電話で動作するフル・ブラウザ・ソフト「jigブラウザ」を10月1日に発売した。携帯電話のJavaプラットフォーム上で動作するJavaアプリであり,iモードやEZwebの標準ブラウザではできないパソコン向けWebサイトのそのままの表示が可能である。

 国内ではDDIポケットのPHSサービス向けに,フル・ブラウザ「Opera」を標準搭載したPHS端末「AH-K3001V」を京セラが5月に発売したが,携帯電話向けはjigブラウザが初。NTTドコモの「FOMA 900iシリーズ」全9機種と,KDDI(au)の「WINシリーズ」または「A5000シリーズ」のうちJavaアプリに対応した一部機種で利用できる。

 表示モードとしては,パソコン向けサイトをそのまま表示する「パソコンモード」と,携帯電話の画面サイズに合わせて画像を縮小したり文章の改行位置を調整する「ケータイモード」を装備。文章だけを表示する「文章ビュー」,ページ全体を縮小して表示する「縮小ビュー」も備える。SSL(secure sockets layer)による暗号通信も可能である。Flashコンテンツには対応しない。

 jigブラウザは,Webページの表示にかかる時間を短縮するために,コンテンツ圧縮や画像縮小により受信データ量を減らせる。とはいえパケット通信料は携帯電話向けサイトの利用に比べて膨れ上がる。このため十分に活用するには,NTTドコモの「パケ・ホーダイ」,KDDIの「ダブル定額」といった定額パケット・メニューを選ぶ必要がある。

 利用料金は,月払いと年払いの2本立て。月額1050円または年額6090円である。月払いはクレジットカードのみ。年払いはほかに銀行振込,郵便振替,電子マネーの「WebMoney」でも支払える。試用版の無料ダウンロード提供も実施するが,10月4日昼時点ではアクセス集中のため新規のダウンロードを休止している。jig.jpは3年間で100万会員の獲得を目標に掲げている。

 携帯電話向けのフル・ブラウザとしては,NTTドコモがビジネス・コンシューマ向けに来春発売する米モトローラ製FOMA端末に標準搭載することを発表。非PC向けブラウザを開発するACCESSも,KDDIなどが採用しているcdmaOne/CDMA2000 1X携帯電話向けのBREW(binary runtime environment for wireless)アプリとして「NetFront for BREW」を開発済みである。

 数百kビット/秒以上の高速データ通信を定額パケット料金で使える第3世代(3G)携帯電話の普及に伴い,携帯電話向けサイトの利用を前提としたこれまでの使い方やサービス,ビジネスモデルが一変する可能性が出てきた。