MicrosoftがいよいよWindows 95のサポートを終了させる。2002年12月31日から同OSは製品ライフサイクルの最終段階「非サポート対象フェーズ」に入る。オンラインのサポート技術情報を自分で調べることはできるが,情報の追加はない。

 Windows 95は,ライバルIBMのOS/2にとどめを刺したOSである。IBMもOS/2のサポートをまもなく終了させることを思うと感慨深いものがある。Windows 95の発売によって販売が止まったこのOSをIBMは実によくサポートしてきた。

 今日,Microsoftが32ビットWindows製品でOS/2を抹殺した方法を多くの人々がまとめようとしている。しかし,OS/2の敗北を最もリアルに描いた読み物はIBM 前CEOのLouis Gerstner氏の自伝「Who Says Elephants Can't Dance(邦題:巨象も踊る)」だろう(驚くほど優れた読み物で,しかもゴースト・ライターなしで書いている)。

 この本でGerstner氏は,OS/2に2ページ弱を割いた。1994年にOS/2 Warpをリリースしたときのことを「しかし,撤退は既に決まっていた。戦いは既に終わり,敗北は知れ渡っていた。市場の90%をWindowsが占めており,OS/2は5~6%だった」と書いている。

 つまり,IBMがOS/2 Warpをリリースしたとき,Gerstner氏は同OSを葬る計画に賛同していたのである。それから,同社は顧客が他のプラットフォームに乗り換えるために多額のコストを負担した。サービス指向の技術会社らしい,すばらしい撤退戦略ではなかろうか。