NECは3月7日,最大10Gビット/秒のイーサネットを使って数十キロメートル(中距離)の通信を可能にする光通信装置「SpectralWave MMSP1000/2000」を発売した。光波長多重化(WDM)装置を使わずに,10Gビット/秒の速度を達成できる通信装置はほとんどない。MMSPとWDM装置と併用すれば,40Gビット/秒での通信も可能になる。

 MMSPは回線障害が起きた場合,回線を瞬時に切り替えることができるのも特徴。「切り替わった際でも,ユーザーはまったく意識することなく使い続けることができる。イーサネットは安価で高速だが,信頼性が低いという欠点があった。MMSPを使えば,イーサネットで信頼性を高いネットワークを実現できる」(NECの水上敏彦第二光ネットワーク部長)という。

 ADSLなどの浸透により,インターネットへのアクセス速度は格段に向上した。しかし水上部長は,「ADSL事業者とISPを結ぶ中継回線の速度に問題がある」と指摘する。「ADSL事業者の多くは,中継回線に100Mビット/秒程度のATM回線を採用している。その回線を多数のユーザーが共有しており,それがボトルネックの原因になっている。MMSPを使えば,安価で高速なイーサネットに替えることができるので,結果としてブロードバンド・ユーザーは,より快適にインターネットを利用できるようになるはずだ」(水上部長)。

 MMSPの価格は1500万円から。ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)向けに販売するほか,ダーク・ファイバを使った拠点間ネットワークを構築したいデータセンター事業者や通信事業者にも販売する。

鈴木 孝知=日経コンピュータ