ウィルコムおよびウィルコム沖縄は2005年3月15日,加入者間における音声通話と電子メールを定額にするサービス「ウィルコム定額プラン」を発表した。料金は月額2900円。2005年5月1日より開始する。ただし時間制限があり,連続して2時間45分以上通話した場合は30秒あたり10.5円の超過料金が発生する。また,連続して16時間以上通話すると強制的に切断される場合がある。これらは,想定していない使い方をされた場合の措置という。

 同社はバックボーンをNTTのISDN網から自社のIP網へ切り替える計画を進めている。音声通話もIP網を経由することでコストを定額にできた。ただしすべてのトラフィックがIP網を経由するわけではなく,IP網を利用するのは2006年3月まで1年間で見ると全トラフィックの6割程度の見込みという。

 定額通話を可能にするとユーザーが長時間通話し続け,通信チャネルを占有する懸念がある。ウィルコムは複数の基地局でエリアをカバーする方式(マイクロセル方式)を採っており,基地局の密度を高めればこの問題を解消できる。基地局数が約16万局に到達したことから,十分な通信チャネル数を確保できると判断した(NTTドコモの携帯電話の場合,PDC方式で約2万局,FOMAで約1万7000局)。また,IP網に対応する新しい基地局への切り替えも通信チャネル数増大に寄与する。従来の基地局は通信チャネルが3チャネルだが,IP網対応の基地局だとこれを10以上に増やせるからだ。

 携帯電話への通話料金は30秒あたり13.125円,固定電話とIP電話へは30秒あたり10.5円。パケットデータ通信料は1パケットあたり0.021円。7月からはウィルコム定額プランの契約者を対象にしたパケットデータ通信の定額サービス「リアルインターネットプラス[1x]」を始める予定である。1xは最大で32kビット/秒の通信に対応していることを示す。料金は月額2100円。

(堀内 かほり=日経バイト)