米PalmSourceは,モバイル・デバイス向けOSの最新版「Palm OS Cobalt 6.1」を,ドイツのミュンヘンで開催中の開発者向け会議「PalmSource Euro DevCon」で現地時間9月28日に発表した。通話機能コンポーネントを統合し,Wi-FiおよびBluetoothをサポートする。「強力でありながら使いやすい,最先端のスマートフォンや無線デバイスの開発に最適」(PalmSource社社長兼CEOのDavid Nagel氏)

 同OSは,成長著しい携帯電話市場への参入を図るPalm OSライセンシに向ける。米メディアの報道(TechWeb)によると,2004年第1四半期に出荷されたPDAのうちPalm OSと米Microsoftの「Windows CE」のシェアはともに約40%。Palm OS搭載機の出荷台数は前年同期比20.7%も減少し,一方,Windows CEは勢力を伸ばしている。PDA市場でMicrosoft社にシェアを奪われているPalmSource社にとって,スマートフォン市場を狙った取り組みは,非常に重要だ。

 Palm OS Cobalt 6.1はGSM,MUX,GPRS向けAPIを取り入れており,「携帯電話メーカーはより短期間でPalm OS搭載(Palm Powered)携帯電話を開発できる」(PalmSource社)。また,NAND ROMをサポートするため,自動バックアップおよび復旧機能を実装することで,電池切れや電池交換によるデータ損失を防ぐことができる。

 5方向ナビゲーションをサポートし,PIMアプリケーションも同ナビゲーション機能に対応済み。カメラ,GPSシステム,無線用SD/IOカード内蔵に対応し,USB On-the-Goサポートも備える。QVGA,HVGA,VGA解像度のディスプレイ(縦型と横型)に対応。個々の機能設定を一元的に管理する「Preferences」アプリケーションを搭載するほか,簡体字中国語をサポートする。

 またPalmSource社は,スマートフォン市場向けの一連の発表を同日行った。主な内容は以下の通り。

・モバイル向けWebブラウザの最新版「PalmSource Web Browser 3.0」。アクセスのブラウザ技術「NetFront」をベースにする

・モバイル・アプリケーション開発スイート「Palm OS Developer Suite 1.0」。Eclipseベースの統合開発環境が含まれる

・インストール・ツール「PalmSource Installer」。Palm Powered携帯電話にソフトウエアを配信するための技術

・カナダのResearch in Motion(RIM)の無線メール・サービス「BlackBerry」に対応したAPIを開発し,「PalmSource Mail client for BlackBerry Connect」の初回版でリリースする

・Palm OSユーザー・グループ(PUG:Palm OS User Group)の公式サイトを開設

◎関連記事
「2004年Q1の世界モバイル機器市場はスマートフォンが急伸,ハンドヘルドが停滞」,英調査
2004年Q1の世界携帯電話販売台数,前年同期比34%増で「Q1としては過去最高」
「2003年Q4の世界携帯電話出荷台数は前年同期比29.7%増,スマートフォンは182.3%増加」,米IDC
「2009年には携帯電話機の約70%がカメラを内蔵,大半が数メガピクセルに」,米調査
「米国の携帯電話ユーザー,54%がモバイル・データ・サービスを利用」,米調査
「2010年まで『Symbian OS』がスマートフォン市場をリード」,米ABIの調査
「PDA市場はまだ回復の見込みあり,2003~2008年に出荷台数が年平均6.5%増加」,米調査
「2004年Q2の世界PDA出荷台数は前年同期比12%増,10期連続の減少から脱出」,米Gartner

[発表資料(1)]
[発表資料(2)]
[発表資料(3)]
[発表資料(4)]
[発表資料(5)]
[発表資料(6)]