米Frost & Sullivanは,メディア・ストリーミング・プラットフォームの世界市場に関する調査結果を米国時間3月16日に発表した。それによると,2003年に7億2050万ドル規模だった同市場は2010年までに大幅に拡大する見込みだという。「インターネットのメディア・ストリーミングはテレビとの過酷な競争に直面しているが,テレビ,ケーブル,インターネットの集約が進むとともに,高速インターネット接続がメディア・ストリーミング・プラットフォーム市場の成長を後押しする」(Frost & Sullivan社)

 Frost & Sullivan社業界アナリストのMukul Krishna氏は,「オンライン・コンテンツ所有者は,顧客をテレビからパソコン画面に引きつける価値を提案しなければ,というプレッシャがある」と語る。「インターネットを介したストリーミングとTVの画質,加えて,利用可能なコンテンツの種類を比較した場合,これは非常に困難なことだ」(同氏)

 インターネットのコンテンツ・プロバイダは,画質の弱点を補うため,スポーツなどのニッチ市場に焦点を当てるか,ペイ・パー・ビュー(PPV)などの料金制を検討する必要がある。「広帯域接続と画像圧縮技術を組み合わせた画像配信も新規顧客の獲得に役立つ」(Frost & Sullivan社)

 メディア・ストリーミング・プラットフォーム市場では,豊富な資金と資源を持つプロバイダ2~3社が優勢を保っており,メディア・プレーヤと関連システムを無償提供している。このため,新規参入に対する需要はほとんど見込めず,市場参入を果たしたとしても大手に買収されるケースが多い。

 ただし,このような問題点があるにもかかわらず,「メディア・ストリーミング・プラットフォーム市場は大きな可能性を秘めている」(同社)という。デジタル時代の到来により,通信などの関連技術企業がストリーミング分野の商機に目を向けている。

 インターネット,企業イントラネット,ケーブル/通信,モバイル無線市場などで大量のデジタル・マルチメディアを配信する準備が整えば,ビデオ配信ソリューションの需要は今後大幅に増大するだろう,としている。

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