RPAによる自動化の阻害要因となっている「手書き帳票」
働き方改革や生産性の向上を推進する上で、大きなボトルネックとなっているのが、究極のアナログ業務の1つ、手書き帳票業務だ。
特に経理や総務などの管理部門、営業事務、金融機関や流通、サービス業などの店舗業務では、顧客や従業員が手書きする帳票類が数多く存在し、その情報を業務システムへ一つひとつデジタル入力する作業が依然として残っている。
こうした業務は当然のことながら、ビジネスで利益を生み出すコア業務ではない。そのため多くの担当者は日中の通常業務が終わった後に、PCに向かって黙々と入力作業を行っているのが実情だ。月末や年度末になれば、否応なく残業を強いられる担当者も少なくないだろう。
人手のかかる定型作業に限られた人員を振り向けるのは、労働生産性や長時間労働の是正という観点から見ても得策ではない。業務へのモチベーションや集中力を低下させ、様々なミスの発生によりビジネスチャンスを逃す可能性さえある。
近年は、人がPCで行う定型作業をソフトウエアロボットに代行させるRPAの導入が進んでいるが、そこでも手書き帳票の存在が、RPAの導入を阻害する大きな要因となっている。
例えば、出張精算書や住所変更届、通勤費の申請、人事マスターへの登録などは、そのベースとなる数値がデジタル化されていなければ、RPA化するためのデータ入力プロセスが残されたままになってしまう。入力業者にアウトソーシングするにしても、入力されたデータが返ってくるまでには相応の時間とコストがかかる。そもそも10件、20件といった小ロットでは外部に依頼することさえできない。
手書き帳票がなくならないのは、それを解決する技術が進化していなかった点も大きい。手書き文字をテキスト化する際の認識率(精度)の低さ、氏名や住所といった個人情報をシステムで扱う過程でのセキュリティの問題もある。
ただし、最近ではこうした手書き帳票にまつわる課題を、容易かつ低コストで解決できるソリューションも登場してきた。ここではその具体的な中身について紹介したい。