SAPジャパン、RPAテクノロジーズおよびSAPのERP(統合基幹業務システム)導入を手掛けるアイ・ピー・エス(IPS)の3社は2018年12月10日、ERPの導入と同時にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を使ってデータ入力の自動化を支援するサービス「EasyOne Cloud」を提供すると発表した。主に売上高250億円以下の中堅中小企業向けに販売していく。

 EasyOne CloudはSAPのクラウドERP「S/4HANA Cloud」、データ分析サービス「SAP Analytics Cloud」にRPAテクノロジーズのRPAツール「BizRobo」を組み合わせて構成する。IPSがBizRoboを使ってS/4HANA向けに「受託ロボット」を事前に開発し、S/4HANA Cloudと同時に導入する。

 受託ロボットは、「これまでERPのユーザーが手作業で行っていたデータ入力作業を代替することになる」とIPSの渡邉寛社長は説明する。「S/4HANA Cloudから必要なデータを取得して請求書を作成する」「Excelから受注データを抜き取りS/4HANA Cloudに入力する」といった作業を想定している。「基本的なロボットを開発しておき、ERPを導入しながらユーザーに合わせてカスタマイズして導入する」(渡邉社長)という。

左からSAPジャパンの綱島朝子ゼネラルビジネス営業統括本部第二営業本部第一営業部長、RPAテクノロジーズの大角暢之社長、アイ・ピー・エスの渡邉寛社長、SAPジャパンの牛田勉常務執行役員
左からSAPジャパンの綱島朝子ゼネラルビジネス営業統括本部第二営業本部第一営業部長、RPAテクノロジーズの大角暢之社長、アイ・ピー・エスの渡邉寛社長、SAPジャパンの牛田勉常務執行役員
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 中堅中小企業向けに限定するのは、「中堅中小企業のほうがSAPのERPの持つ業務プロセスに合わせやすいため」(渡邉社長)だ。S/4HANA Cloudはパブリッククラウドのためカスタマイズできない。受託ロボもS/4HANAを標準機能のまま利用することを想定し、開発している。「クラウドERPの導入を短期化するだけでなく、導入後のデータ入力作業の負担も軽減できることがメリットだ」と渡邉社長は話す。

 EasyOne Cloudの導入期間は9週間から。初期導入費用は980万円からで、ERPの導入範囲やロボット数などによって変わる。導入後の利用料は、S/4HANA Cloudの1ユーザー当たり月額3万円からを見込んでいる。