企業が競争力を維持するためには、大企業だけでなくSMB(Small and Medium-sized Business、従業員数999人以下の中堅中小企業)も、IT投資を避けられない。これから予定される消費税増税への対策やWindows 7のサポート終了、そして東京オリンピック/パラリンピックの影響とその反動は、どのようにSMBのIT市場に現われるのか。

 2018年から5年間の国内SMB IT市場の動向予測を基に、そのヒントを探る。

2021年以降もSMBが投資する三つの「成長市場」

 「国内SMB IT市場は2018年から2019年にかけて3.4%のプラス成長を遂げるが、2020年には前年比0.1%の低い成長率に転じる」――。調査会社のIDC Japanは2019年2月に発表した調査結果の中でこう指摘している。

 成長の背景にあるのは、2020年1月のWindows 7のサポート終了に伴うPCの更新需要の増大と、2019年10月に予定されている「消費税増税/軽減税率制度」に対応する関連システムの刷新・改修ニーズの拡大である。

 これらの外的な要因によって、SMBは強制的かつ短期的にITへの投資を迫られる。そして2020年にはその反動が出て、投資が急減すると見ているのだ。「この状況は2014年に、Windows XPのサポート終了と消費税増税が重なったときに似ている」とIDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャーの市村 仁氏は述べる。

 そして2020年に落ち込んだ国内SMBのIT支出は「2021年以降は1%台まで回復し、その後も緩やかな成長を続ける」とIDCは予測する。2022年の市場規模は4兆1214億円に達すると見込んでいる。

 東京オリンピック/パラリンピックが終わった2021年以降に、IT市場の成長を牽引する成長分野には何があるのか。市村氏は、以下の三つを指摘する。(1)働き方改革、(2)SMB向けに最適化されたRPA(Robotic Process Automation)やAI(人工知能)などのソリューションの普及、(3)クラウドシフト――である。

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