富士通セミコンダクターは、+125℃での動作を保証するFRAM(Ferroelectric Random Access Memory)製品ファミリーに、初めて電源電圧が5Vの製品を加えた(ニュースリリース)。具体的には、SPIインターフェースを持つ64KビットのFRAM「MB85RS64VY」を開発した。

今回の新製品。富士通セミコンダクターの写真
今回の新製品。富士通セミコンダクターの写真

 同社は2017年から、+125℃動作の128Kビットおよび256KビットのFRAM製品を量産しているが、どちらの製品も電源電圧は3.3Vだった。5V動作の温度センサーを利用中の顧客から「電源電圧が5VのFRAMを使いたい」という要望があり、それに応える形で新製品を開発したという。新製品は、周辺の電子部品が5V電源電圧の場合でも、電圧を降圧する回路を追加せずに接続できるため、顧客の設計負担を軽減可能だという。

 富士通セミコンは、新製品の応用先として、自動車や産業機械を挙げる。こうした分野では、動作中にモーター機構の発熱によって作動部分が高温化することがあるため、動作温度をモニターする温度センサーが使用されるケースが少なくない。市場にある温度センサーには5V製品が多くあり、それらのセンサーと降圧回路なしに一緒に使える新製品は有用だとする。

 新製品は、10兆回の書き換え回数を保証している。パッケージは、EEPROMと置き換え可能な8ピンSOPに加えて、主に産業機械向けとして、リード無しの小型パッケージである8ピンSON(Small Outline Non-lead package)を用意する。SON品はSOP品と比較して、面積比で約30%、実装体積比で約13%と小さいため、実装基板の小型化に貢献できるとする。新製品の語構成は8K語×8ビット(容量:64Kビット)。外部インターフェースはSPI。動作周波数は最大33MHz。動作電源電圧は2.7V~5.5V。動作温度範囲は-40~+125℃である。

 MB85RS64VYは、現在、評価サンプルを提供中である。2019年第1四半期には量産開始を予定している。価格は未公表。