前回は、GEヘルスケア・ジャパンでマーケティングの責任者をしていた私が「働いても働いても時間が足りない」状況に陥り、私の時間を奪う「時間泥棒」が誰かについて考えた話を書いた。今回はその続きで、時間が足りない状況を解決する狙いから、同社日野本社工場に乗り込んだ話をする。私は時間泥棒にたどり着けるだろうか。

(写真は本文中の工場とは関係ありません)
(写真は本文中の工場とは関係ありません)

「オフィスリーン」を学ぶつもりが工場見学に

 私は早速、工場の責任者に話を通し、社員40人ほどを引き連れて金曜日午後に日野本社工場へと乗り込んだ。同工場は、トヨタ自動車から学んだ生産管理方式「リーン生産方式」を製造工場内だけでなく間接業務部門へも拡大して、残業時間を短縮する「オフィスリーン」を実現している。

 通常業務を離れて日野に足を運んだ40人は、当時の私が抱えていた社員200人の2割に当たる。全部門の統括責任者や営業リーダー、部門マネージャー、そして大阪の営業アシスタントリーダーまでが参加した。

 その本気度が伝わっていたのか、受け入れる工場側もかなりの準備をしてくれたようだ。全員分の資料を用意して、リハーサルまで実施したという。有り難いことだ。

 製品も顧客もオフィスも全く異なるビジネスを展開しているバイオ部門(私たち)への教育に時間をかけても、工場側には何のメリットもないはずだ。それでも快く受け入れてくれたのは、「リーン・アカデミー」という生産工程のムダを省くために体系化した社内教育プログラムによって、全世界の社員を育ててきた自負があるからだろう。

 「今から1時間ほど工場を見学してもらいます。現場でリーンを詳しく説明しましょう」――。参加者全員が集まり、セミナールームに通されて、自己紹介が終わるとすぐに移動になった。「あれ?オフィスリーンのトレーニングだよね?工場見学って聞いてなかったな」と不思議に思いながらも後に続いた。

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