わかっていても、実はできていないことが多いのがメールです。基礎を定着させること、できていないことを改善していくこと、地道な努力の積み重ねがスキルアップへの道だと説く平野所長。3つのメールの問題を通して、「わかる」と「できる」は違う、を考えます。

平野所長(以下、平野):先日、ある雑誌の取材を受けたんだ。メールのノウハウを1時間くらい話した頃だろうか。みんながもっとあっと驚くような話はないかって聞くんだ。

直井研究員(以下、直井):私も知りたいです。

平野:それで私は言ったんだ。「わかるとできるは違います。できていない部分に目を向けるのが大事です。そこからメールの改善がスタートします。だから、あっと驚くような上級テクニックに目を向けるんじゃなくて、基礎だと思われるところもしっかりやったほうがいいですよ」と。結局、上級テクニックをやろうにも基礎ができていなければ効果も薄いしね。

直井:確かにそうですが、それで、どうなりました?

平野:今ひとつ納得してもらえなかったので、その人から届いた取材依頼のメールをテーブルに置いて「このメールに改善点はありますか?」と聞いてみた。

直井:気付いてもらう作戦!所長もずいぶんと攻めましたね。

平野:相手をおとしめようという気持ちは全くないよ。ただ、納得してもらうためには自分事だと思って受け入れてもらう必要がある。

直井:自分は大丈夫と思っていることは多いですからね。

平野:その人は自分のメールを見て2~3箇所の改善点を言ってくれた。でも、まだまだ改善の余地がある。結局、合計10箇所以上の改善点を指摘したんだ。そしたら、すごく納得してくれて「まだまだ改善点があることに気付きました。この取材記事、うまくまとめますね!」といって帰っていったよ。

直井:どんな記事になるか楽しみですね。

平野:そうだね。

直井:長い間メールを使っていると、基本はできている、色々なことを知っている、わかっていると思いがちです。でも、知っていても、わかっていても、実はできていないことってありますね。

平野:スキルアップとは、高度なテクニックを求めることだけではない。基礎を定着させること、できていないことを改善していくこと、地道な努力の積み重ねが大切だ。そうすることで当たり前のレベルが上がるんだよ。

直井:当たり前のレベルが上がると、世の中のメールコミュニケーションは、もっともっとよくなっていきますね。みんなが読みやすいメールを書いて、配慮するようになったら、効率も上がって働きやすくもなります。メールの改善も、働き方改革の一つと言えるのではないでしょうか。

平野:そうだね。メールの使い方一つで働き方が変わるからね。そうだ!今日はメールの問題を自分事として考えてもらうために、いつもとは少し趣向を変えてみよう。私が問題を出すから、コラムの読者の皆さんにも考えてもらうというのはどうかな?

直井:おもしろそうですね!じゃあ所長、出題をお願いします。

平野:では早速はじめよう!第1問はこちら。

あなたは、日経BP社 日経 xTECH Activeで連載中のコラム「5分でわかる!ビジネスメール」の読者です。平野所長にビジネスメール研修の相談があり、メールを送ることになりました。そのときに次のような書き出しで書きました。

「初めてご連絡いたします。いつもコラムを楽しく拝見しています。」

この書き出しに問題があるとしたら、どのような点でしょうか?

直井:特に問題はないように見えますが……。

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