B2Bマーケティングを実践する多くの企業に、「インターネット推進室」や「デジタルコミュニケーション室」などデジタルメディアを専門に扱う組織があるのではないでしょうか。名前は違えどもWebサイトを専門に扱うチームや、電子メールやSNSなどを扱う組織などのことです。Webカタログを扱うチームや、営業部門内にあってお客様からの電子メールによる問い合わせに対応するチームなどもこれに該当します。
デジタルメディア専任のチームや担当者を設けることは、デジタルメディアを理解し、その活用を推進する時期には大きな意味がありました。では今はどうでしょう。
まだデジタルメディアを勉強している時期でしょうか。B2Bマーケティングでデジタルメディアの活用がごく普通になった今も、デジタルメディア専任の、悪く言えば「デジタルしか知らない」チームや担当者は必要でしょうか?
私の答えは「いいえ」です。それどころか私は、デジタルメディア専任チームの存在が、B2Bマーケティングを進める上で大きな問題になっていると考えます。
今回は、デジタルメディア専任チームについて考えます。もし企業内にそうした組織があるなら私は「解散せよ」と言うでしょう。以下ではその理由と方策を考えます。
デジタルとアナログに壁ができる問題
まず、この連載で何度も取り上げてきた、デジタルとアナログの組織問題から考えます。お客様との「コミュニケーション設計」をするときにデジタルメディアチームが存在していると、デジタルとアナログの施策の間に大きな壁ができてしまいます。
コミュニケーションを設計するとき、他の組織からデジタルメディアのプランニングに意見が出なくなることが多くなります。同チームがこの分野に最も詳しいと思われており、出したプランがそれを踏まえたものと思われるからです。
しかもデジタルメディアチームのメンバーは、デジタルに閉じた設計をしてしまいがちです。そしてその後で、デジタルとアナログを組み合わせた統合的なコミュニケーションを設計します。