私が書いた前回の「記者の眼」で、人月商売と多重下請け構造に代表される日本のIT業界の現状と今後について、読者に意見を求めた(関連記事:読者に問う! IT業界の二大悪「人月商売」「多重下請け」の今後)。私自身はIT業界の悪弊とも言える人月商売と多重下請け構造は解体に向かうと考えるが、はたして皆さんはどう思っているのだろうか。

 この人月商売と多重下請け構造の問題は、IT関連の仕事に携わる多くの人にとって重大な関心事。そのため、SIerや下請けの受託ソフトウエア開発会社の技術者、経営層、営業担当者、さらにユーザー企業のIT部門の技術者など83人に上る読者から真摯な意見が寄せられた。今回は、そうした意見を紹介しつつ、はたしてIT業界が変わり得るのか否について深掘りしたいと思う。

 そもそも読者に意見を求めようと考えた発端は、やはり以前この「記者の眼」で書いた記事だ(関連記事:IT業界の人月商売、多重下請けがもたらす45の害毒)。人月商売と多重下請け構造がどれだけ害毒を撒き散らしているかについて45の問題点を指摘したこの記事は、ITに携わる人の琴線に触れたようで大きな反響を得た。

 ただ、この記事に対するTwitterなどのコメントで「木村は問題点を指摘して煽っているだけで、解決策を提示していない」とか「解決策について他の読者の意見を聞いてみたい」との発言がいくつかあった。そこで前回の「記者の眼」で、IT業界の人月商売や多重下請け構造が今後どうなっていくのかについて私の主張を明示した上で、読者にも広く意見を求めた次第だ。

 従ってこの「記者の眼」の記事は、今紹介した二つの記事に続く3部作の一つと考えていただきたい。もちろん前回や前々回の記事を読んでいなくても、この記事を読むのに支障は無いが、未読であるならばそれらの記事も参照していただけると幸いである。