オークション/ショッピングサイトの商品価格情報を提供するオークファンは2015年5月26日、ディー・エヌ・エーが提供してきた「DeNA BtoB market」の事業を買収すると発表した。買収価格は12.5億円。DeNAが会社分割によって新設するNETSEAの全株式を取得する形で譲り受ける。事業譲渡後は「NETSEA」のブランドで運営を継続する。

 DeNAがBtoB marketの前身である「NETSEA」を開始したのは2006年11月で、現在の年間流通総額は卸売り価格ベースで約60億円。オークファンは現在、ヤフーの「Yahoo!ショッピング」と「ヤフオク!」、楽天の「楽天市場」と「楽天オークション」、DeNAの「モバオク」、Amazon.co.jpで取り扱われている商品の価格情報を集約して会員向けに提供している。従来はBtoC取引、CtoC取引の価格情報に限られていたが、NETSEAを取得することで新たにBtoB取引の価格情報を取得できるメリットが生まれる。オークファンのユーザーにとってはNETSEAを仕入れ先として活用できるようになるほか、NETSEAが抱える25万人のバイヤーもオークファンの価格情報を基に仕入れ価格や販売価格を決めるといった相乗効果が生まれそうだ。

 現在、国内のBtoBのECモールは間接資材を中心に取り扱う「MonotaRO.com」や中小企業向けのオフィス用品を取り扱う「アスクル」、製造業向け商品を取り扱う「MISUMI-VONA」、美容業界向けの「BEAUTY GARAGE Online Shop」、ファッションや雑貨に特化した「スーパーデリバリー」など業界特化型がメイン。BtoCモール「楽天市場」で高いシェアを持つ楽天が2010年11月に総合的なBtoB向けECモール「楽天B2B」を開始しているが、知名度は低く、中国のAlibaba.comのような圧倒的な存在感を示すまでには至っていない。

 オークファンは寡占化が進んでいないBtoB領域で、NETSEAの事業拡大を狙う。特にブランド品や家電といった単価の高い商材の取り扱い数を増やす予定で、新品のみ取り扱ってきた従来の方針を変更し、返品や中古品なども取り扱っていくという。

 米国では米アマゾン・ドット・コムが2015年4月28日にBtoBモール「Amazon Business」を発表したばかり。同社は2012年4月に開始した企業や研究機関向けECサイト「AmazonSupply」をAmazon Businessに統合し、BtoB領域へと本腰を入れ始めた。アマゾンが日本市場でも展開し始めれば、BtoBのEC市場は一気に競争が激化する可能性もある。

 経済産業省の「平成25年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、2013年のBtoCのEC市場規模は11.2兆円で、BtoBのEC市場規模は最大で269兆円となっている。