長野県内を中心に店舗展開する八十二銀行は2015年5月、営業活動の支援を目的に、iPadを使ったモバイルシステムを稼働開始した。タブレットからは仮想デスクトップ(VDI)を経由して、社内のOAや各種業務システムを利用できる。VDIをはじめ、操作性やセキュリティの要件に応じて、四つの提供形態を使い分けている(写真1)。

写真1●タブレットから利用するアプリのイメージ(八十二銀行の資料より)
写真1●タブレットから利用するアプリのイメージ(八十二銀行の資料より)
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 今回の取り組みは、「2013年7月に稼働させた統合OAシンクライアントの仕組みを、iPadに広げたものだ」(八十二銀行 システム部 システム開発企画グループの佐々木宏之氏)。同行では2014年4月のWindows XPサポート切れを見越し、Windows 7への切り替えを機に仮想デスクトップソフト「Citrix XenDesktop」でVDI環境を構築。それまで利用してきた4000台のPCに「Citrix Receiver」を導入しシンクライアント化した。

 今回、iPadにもCitrix Receiverを入れて、PCと同様にVDI経由で社内システムにアクセスできるようにした。さらに、iPadを銀行の外(行外)のモバイル環境で使う場合は、銀行内(行内)に比べて利用可能な機能を絞る仕組みを作った。例えば、顧客データベースを検索してリストアップするような機能は行外では使えない。行外環境では、印刷が禁止され、行内PCとのデータの受け渡しにも制約がかかる。

 つまり、同じiPadを使っているにも関わらず、行外と行内では表示される“画面”が自動で切り替わる。