無線LANで現在主に使われているIEEE 802.11ac。その次にもう一つ、さらに高速な「802.11ad」という規格が国内で使用可能になっている。ほかの無線LAN規格とは異なる60GHz帯を使用しているのが特徴で、最大通信速度は7Gbpsだ。

 そんなに高速ならばぜひ使ってみたい、という人もいるかもしれない。

 802.11adが日本で使えるようになったのは、2015年11月。だがそれから1年半余りが経過した現在も、この企画に対応する製品は国内市場であまりみかけない。とくに多くの家庭にあるWi-Fiルーターは、2017年6月にネットギアジャパンが日本初となる802.11ad対応の家庭向けWi-Fiルーター「Nighthawk X10 R9000」(以下、R9000)を発売したくらいだ。

ネットギアジャパンの802.11ad対応ルーター「R9000」
ネットギアジャパンの802.11ad対応ルーター「R9000」
(出所:ネットギアジャパン)
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 それどころか、いちどは802.11ad対応製品を発売する意向を示しながら撤回するメーカーも現れた。2016年に日本市場に本格参入したTP-Linkだ。

 日本法人であるティーピーリンクジャパンの木下 裕介ディストリビューションマネージャーは、6月に開催した新製品発表会で、「米国では802.11adをサポートするWi-Fiルーターを出しており、我々も国内で販売する可能性があると説明してきた。しかし対応する子機が少ないことから、発売する可能性はなくなった」とコメントした。

 802.11adは子機も親機も製品が少なく、802.11acに比べ、存在感は薄いままだ。