写真1 チームシンガポールが開発した「L.O.C.U.S」
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写真2 チームシンガポールのメンバー
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写真3 チーム台湾のシステム「Right!!This Way」
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写真4 チーム台湾のメンバー
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写真5 今年も1人で大会に臨んだチーム英国のKevin Pfisterさんとシステム「Child Sleep Safe」
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写真6 チームインドのメンバー
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写真7 チームインドのシステム「Web@ssist」
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写真8 チームチェコのシステム「Celebrio」とチームメンバー
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写真9 チームスロベキアのシステム「Mapz」(一番右にいる人が装着)とチーム・メンバー
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 Imagine CupにはShowcase Walkという時間があります。ソフトウェアデザイン部門、組み込み開発部門、ゲームデザイン部門に出場したチームが、訪れる報道関係者に自分たちの作品を紹介するというものです。彼らにとっては、ニュースになることで作品を商用化するチャンスが得られるかもしれないので、とても熱心に説明してくれます。今回は二次予選へ進んだ作品を中心に見てまわってみました。

しっかり作りこんだ大作が登場していた組み込み開発部門

 組み込み開発部門には、用意されたブースからはみだすぐらい大きなシステムがいくつか登場していました。シンガポールのシステムがまさにそれ。遠くから見るとリモコンでヘリコプターを飛ばすデモをしています。聞いてみると、これは災害救助ソリューションなのだそうです。大きなプラモデルといったサイズのヘリコプタは複数のセンサーキットを積んでいて、災害エリアに飛行し、そのセンサーキットを落としながら、飛行して帰ってきます。そのセンサーキットは、モーションや熱などで生体の存在を検知してコマンドセンターに通知、救助活動を支援します。放射能汚染などで人が立ち入れない地域での利用を想定しているとのこと。飛行デモに使っていたヘリコプターは4つのセンサーキットを積んで30分飛行できるとのことでした。このヘリコプターの制御にeBoxが使われています(写真1、写真2)。

 台湾のシステムは、ブースの台に乗らないぐらい場所をとっていました(写真3)。室内を模した模型なのですが、ホテルをイメージしているようです。提案しているのは緊急避難指示システム。火災が発生したら、館内の要所要所に設置したセンサー装置付きのユニットから無線ネットワークでその時点のデータをeBoxに伝え、これをもとにeBoxが避難ルートを動的に設計、ユニットのLEDやレーザービーム装置に指示を出して宿泊客に避難を促します。従来、一般的な避難指示といえば地図で一番近い非常口を示しているだけでした。それは火や煙の状況が考慮されていないため、非常口へ向かったのに命を落としてしまったという過去の事件に胸を痛めたチームメンバーが開発を思い立ったそうです(写真4)。

 チームイギリスは、今年も世界大会へ1人でやってきました。彼は去年の世界大会にも出場して視覚障害者支援用メガネを提案、トップ6に選ばれています。今年、取り上げたテーマは赤ちゃんです。室温、赤ちゃんの呼吸、音声などを検知するセンサーを備えた機器を設置して、何か変化があったら両親にその状況をWindows Phone上のアプリケーションで伝えるとともに、赤ちゃんの眠りの質を向上するというのがシステムのコンセプトです(写真5)。開発動機は、赤ちゃんの突然死が多発していることに驚いたのがきっかけだったとか。このように赤ちゃんをかまえるのは先進国で、国連が目を向けている開発途上国では難しいのではないかと思ったのですが、センサーなどの部品価格が下がっており、機器の開発費用が安価に収まるので、開発途上国でも十分に備えられるというのが彼の言い分でした。