大阪府交野市は2010年8月12日、市役所内の標準オフィスソフトとしてOpenOffice.orgを採用したと発表した。標準文書ファイル形式にはODF(OpenDocument Format)を採用する。またMicrosoftからのOSサポートが終了した中古パソコン(PC)約100台にLinuxをインストールして再生利用する。

 交野市では7月中に、市役所の全ての内部事務処理用パソコンにOpenOffice.orgをインストールした。今後パソコンを更新する場合、原則としてMicrosoft Officeを購入せず、OpenOffice.orgを導入する。2010年度から2015年度までの5年間で約1000万円のコスト削減を見込んでいる。

 大阪府と府内の全市町村で構成する「大阪電子自治体推進協議会」は現在、「OSSのデスクトップ利用に関する調査研究事業」としてOpenOffice.org導入手引書の作成や、OpenOffice.orgの導入を検討する団体への支援を行っている。交野市では同事業と連携してOpenOffice.org導入を進めている。大阪府でOpenOffice.orgを導入する自治体は交野市が初めて。事業で得られた成果は大阪府の自治体間で共有され、今後各市町村がOpenOffice.orgの検討および導入を行うための資料となる。同事業は、グッデイが委託を受け実施している。

 2011年4月からは、市役所内の標準文書ファイル形式をODFとする。今後、市で保存している文書データを順次ODF化していく。ODFはISO(国際標準化機構)およびJIS(日本工業規格)によって標準規格として承認されている、XMLベースの文書フォーマット。無償で利用できるOpenOffice.orgなど複数のソフトウエアで読み書きできることから、市民が有償ソフトを購入しなくとも使用できるとして、会津若松市四国中央市などが、OpenOffice.orgとともに採用を決めている。

 また交野市では、マイクロソフトのサポートが終了したWindows 2000を搭載している中古パソコンに、Linuxをインストールして再利用する。Windows 2000は、2010年7月13日にMicrosoftによる延長サポートが終了し、セキュリティホールに対する修正も提供されなくなった。交野市がWindows 2000搭載パソコンで採用していたウイルス対策ソフトも、7月13日でサポートが終了した。しかしパソコンのハードウエアは「これまでハードディスクの故障もほとんどなく、その他の内蔵機器についても十分とは言えないが、なんとか実働に耐える状態で稼働する」(交野市)ことから代替OSによる運用を検討し、Linuxによる再生利用を決定したという。

 Linuxで再生利用するのはリースアップ後、市が無償譲渡を受けて事務処理用に使用していたパソコン約100台と、市民向けに各施設に設置しているインターネット体験用パソコン。これにより2010年度から2012年度までの2年間で約200万円のコスト削減効果を見込んでいる。Linuxディストリビューションとしては「非力なパソコンでも比較的軽快に動作する、Ubuntu-Linuxの軽量版Xubuntu-Linux(10.04LTS版)」(交野市)を採用した。

 交野市ではLinuxサーバーで、オープンソースのWindows互換サーバーソフトウエアであるSambaによるWindowsドメイン環境や、移動プロファイル環境を構築し運用してきた。2006年からはオープンソースのディレクトリサーバーであるOpenLDAPも導入している。SambaによるWindowsドメイン上の移動プロファイル資源は、Linuxデスクトップでも一部制限があるものの利用できることを確認したという。

[交野市の発表資料]

■変更履歴
最後の段落で「Open-LDAP」としていましたが、正しくは「OpenLDAP」です。[2010/08/17 18:50]
第3段落で「グッディ」としていましたが、正しくは「グッデイ」です。 [2010/08/18 20:00]
第3段落で「大阪府電子自治体推進協議会」としていましたが,正しくは「大阪電子自治体推進協議会」です。以上、お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2010/09/15 12:46]