米Hewlett-Packard(HP)は米国時間2010年4月8日、メモリー機能付き抵抗素子「memristor」が論理演算素子としても使えることを確認したと発表した。これまでプロセッサに頼っていた演算機能をメモリー用LSIに組み込めるため、HPは高性能な小型デバイスの開発が可能になるとしている。

 memristorは新たなタイプの不揮発性メモリーで、電力を供給しなくても記憶した情報を保持できる。既存の半導体材料で作るフラッシュメモリーに比べて消費電力が少なく、動作が高速。同じ面積に2倍以上の情報を保存できるという。トランジスタと異なり放射線によるビット誤りも発生しないため、セルサイズを小さくできる。HPの研究部門HP Labsは、このmemristorが論理演算素子として機能することを発見した。プロセッサとメモリーの機能を統合したLSIを開発できると予測する。

 HP LabsはmemristorベースのメモリーLSI用アーキテクチャーを開発済みで、数年以内にこのLSIを搭載したデバイスが発売されると見込む。また、memristorを積層するアーキテクチャーも設計している。このタイプのmemristorメモリーLSIを使えば、5年後にはハンドヘルド機器のメモリーサイズを現在の10倍に増やしたり、より高性能なスーパーコンピュータを実現させたりできるという。

 この技術の詳細は、英国の科学雑誌「Nature」に掲載した論文で説明している。

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