箕面市が導入するLinuxシンクライアントの概要(箕面市の発表資料より引用)
箕面市が導入するLinuxシンクライアントの概要(箕面市の発表資料より引用)
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箕面市が行ったLinuxシンクライアント検証の様子(箕面市の発表資料より引用)
箕面市が行ったLinuxシンクライアント検証の様子(箕面市の発表資料より引用)
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 大阪府箕面市は2009年10月14日,中古パソコン500台にLinuxを導入し,市内の全市立小中学校20校の職員室で再生利用すると発表した。目的はITコストの削減。導入に際してはアドバイスや技術指導を行う「サポーター企業」を募集する。

 再利用する中古パソコンは,小中学校の実習用パソコンの入れ替えにともなって発生したもの。プロセッサとしては動作周波数1GHzのCeleronや866MHzのPentium IIIなどを搭載している。OSはWindows 2000 Professional。Windows 2000はすでにメインストリーム・サポート期間は終了している。2010年6月30日に延長サポート期間も終了し,セキュリティ問題の修正も行われなくなる予定だ。

 箕面市では,この中古パソコンに,教育向けのLinuxディストリビューション「edubuntu」を導入して再利用する。サーバーからOSをダウンロードして起動するネットワーク・ブート方式のシンクライアントとして使用する。ネットワーク・ブート方式にすることで,個々のクライアント・パソコンのOSをアップデートするなどの管理の手間を削減,またクライアントにデータを残さないことで情報漏えいなどの危険を軽減することを狙う。

 再生パソコンは,市内の全市立小中学校20校の職員室に,事務用パソコンとして追加で設置する。「小中学校の職員向けパソコンはまだ1人1台体制にはなっておらず,また財政事情から新規のパソコン購入も難しくなっている。Linux再生パソコンであれば,初期コストは従来の10分の1以下で,ゼロも可能」(箕面市 総務部 情報政策担当)。2010年1月から実際の導入作業を開始し,2010年4月から小中学校で利用を開始する予定だ。

 オフィス・ソフトとしてはedubuntuに標準搭載されているオープンソース・ソフトウエアのOpenOffice.orgを利用する。小中学校だけでなく,市役所でも今後OpenOffice.orgを利用していく方針だ。

 プロジェクトは箕面市長のトップダウンで進められた。背景にあるのは「Microsoft依存による高コスト体質」(箕面市)に対する問題意識だという。「(パソコン本体の価格が低価格になってきたことで)Microsoft Officeがパソコン単価の半分近くを占めるようになってきた。箕面市ではMicrosoft Office 2007へのバージョン・アップは見送った。機能的には今(Office 2003)のままで十分。Office 2007は見た目もファイル形式も変更されており慣れるまで膨大な時間が必要」(箕面市)。

 箕面市ではWindows Vistaへのバージョン・アップも見送った。「Microsoft製品を使い続けると,新しいOSやOfficeが発売されるたびに大規模な出費に迫られる。ソフトウエアの購入費用だけでなく,古いパソコンは新しいOSには性能不足なので,パソコンの大量購入やセットアップのコストもかかる」(箕面市)。また「古いパソコンを廃棄すれば廃棄費用もかかり,環境問題も発生する」(箕面市)。これらに対する問題意識から,中古パソコンをLinuxで再生利用する今回のプロジェクトが始まった。

 Linux導入は,箕面市が自ら作業して進める。ネットワーク・ブート方式で利用できるかどうかも,箕面市の総務部 情報政策担当者が実際に検証を行った。ただし,導入に際して問題が発生するおそれもある。そのため,箕面市では「サポーター企業」を募集する。サポーター企業の役目は,市が構築作業をする中で技術的な問題が発生した場合に,アドバイスや対策の検討を行うこと。箕面市では「サポーター企業は実際のシステムで技術を実証でき,実績としてアピールできる」としている。サポーター企業の募集要項は箕面市のホームページに掲載している。

◎関連リンク
脱MS!無償「 Linux 」シンクライアントにより中古パソコン500台を再生利用へ(箕面市の発表資料)
Linuxで大量の中古PCを再利用にトライ!(箕面市長 倉田哲郎氏のブログ)

■変更履歴
箕面市長 倉田哲郎氏のブログへのリンクを追加しました。 [2009/10/15 19:06]