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 「マイクロソフトはWebとデスクトップの融合、Webブラウザの複数プラットフォーム対応など、次世代アプリケーションに向けた開発環境整備を進めている。そのカギとなるのがVisual Studio(VS) 2008だ」。米マイクロソフトでVSの開発責任者を務めるスコット・ガスリー .NETデベロッパープラットフォーム ジェネラル マネージャ(GM)は1月21日、販売開始を2月に控えたVS 2008をアピールした(写真)。

 ガスリー氏はVSの開発責任者のほか、SilverlightやASP.NETといったマイクロソフトの開発技術を統括している。同氏のブログをボランティアで日本語に翻訳する開発者がいるなど、.NETエンジニアのカリスマとして有名。

 ガスリーGMはVS 2008の特徴として、まず「マルチ・ターゲット機能」を紹介した。これはアプリケーション開発・実行ミドルウエア.NET Frameworkに関して、最新版の3.5だけでなく、同2.0や3.0を使ったアプリケーションも、VS 2008だけで開発できる機能である。

 .NET Framework 3.5の中核モジュールは、同3.0および同2.0と共通。VS 2008では開発者が必要に応じて利用する.NET Frameworkのバージョンを選び、アプリケーションを開発できる。「旧バージョンのアプリケーション開発を継続しながら、開発者自身のペースで最新環境へ移行してもらえるだろう」(ガスリーGM)。

 次にガスリーGMは「リッチなWeb開発を推し進めるために、Ajax関連の強化も施した」と言及。JavaScript開発の効率を高めるための入力支援機能「インテリセンス」を紹介した。インテリセンスとは、コードの最初の数文字を入力すると、続く構文の候補を自動的に表示する機能である。

 VS 2008では、従来は.NET系言語用だったインテリセンスを、Ajaxアプリケーション中のJavaScriptを記述する際にも動作するようにした。「Ajax開発に取り組むエンジニアから、どのAPIを利用したらよいか迷ってしまうという要望をよく聞く。JavaScriptの柔軟さは大きな利点だが、それゆえに開発者にとって分かりづらい面がある。VS 2008のインテリセンスによって、開発者を支援できる」(ガスリーGM)

 このほかガスリーGMは、.NET言語からデータベース操作(クエリー)を可能にする「LINQ」、企業情報システム向けのテスト機能やワークフロー作成機能の強化点などを紹介。講演後には会場からの質問に答えるなど、会場で来場者と直接会話した。自身のブログを日本語に翻訳しているエンジニアにも会い、親交を深めたという。