写真1:ソフトバンクの孫正義社長
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写真2:米News Corporationのルパート・マードック会長兼CEO
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写真3:米MySpaceのクリス・デウォルフCEO
写真3:米MySpaceのクリス・デウォルフCEO
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 「ウチがやれば成功する」。孫正義ソフトバンク社長は記者発表会の壇上で,自信の笑みを見せた(写真1)。

 11月7日,ソフトバンクと米メディア大手News Corporationは,SNSサービス「MySpace.com」の日本版,「マイスペースジャパン」を提供すると発表,ベータ版のサービスを同日開始した。Webサイトのトップページはhttp://jp.myspace.com/。事業会社はマイスペースで,両社の折半出資。

 MySpace.comは全世界で約1億2500万人のユーザーを抱える巨大SNS。「サービス開始から3年足らずでここまで成長したメディアは例がない」と孫社長はMySpace.comの価値を強調する。日本は7番目のサービス展開国となる。国内の代表的なSNSとしては,ミクシィが運営する「mixi」や,グリーが運営する「GREE」がある。

 MySpace.comの特徴のひとつは,カスタマイズ機能。「プロフィールのページなどのデザインを,ユーザーが細かく変更できる」(孫社長)。mixiなどは,現時点ではこの機能を提供していない。またMySpace.comは,ユーザーのWebページに,MySpace.comが提供する音楽を貼り付けられる機能を提供する。「好きなミュージシャンの曲を自分のトップページに貼り付け,好みをアピールする,といった使い方が可能だ」(孫社長)。マドンナなど複数の著名アーティストがMySpace.com上に個人ページを持っており,そうしたアーティストらが提供する曲を貼り付けられるという。

 携帯電話向けのサービスについて孫社長は順次提供すると言及した。「相手(ソフトバンクモバイル以外の他の携帯キャリア)がどうするかによるが,オープンにやる」(孫社長)。ただソフトバンクモバイル向けのサービスについては,「2年前から携帯電話用のSNSのシステム開発を進めており,それを活用するので早くなるかも」と孫社長は述べた。他の携帯キャリアではKDDIがグリーと組み,モバイル版SNSを立ち上げる意向である。

 記者会見にはNews Corporationの会長兼CEO,ルパート・マードック氏も壇上に登った(写真2)。News Corporationは米MySpaceの株を持つ米F.I.M. Internationalを傘下に置いている。

 一般的に,サービスには国民の文化や趣味趣向を反映したローカル性が求められる。特定の国で支持を得たWebサービスが,他の国でも同じように得られるとは限らない。この点について米MySpaceのクリス・デウォルフCEOは,「MySpace.comは,展開する国のローカル性を十分に尊重している。だからこそほかの国でも成功してきた」と語る(写真3)。「その点,ソフトバンクは(ポータル・サイトである)Yahoo! JAPANの成功で実績がある。ジョイントするに値するパートナーだ」(デウォルフCEO)。孫社長も「Yahoo!もイートレード(証券)も,成功したのはソフトバンクがやったから」と自信を見せる。

 ユーザーに支持を得ている国内Web関連サービス会社の多くは,やる気のある開発メンバーと,ユーザーの声をすぐにサービスとして反映させる機動性が高い組織体制を備えている。日本版MySpace.comの行く末は,日本のユーザーの声に素早く応えられる,機動性の高い開発体制を国内に組織できるかどうかで変わる。