OpenStack(オープンスタック)は、クラウド基盤を構築するオープンソースソフトウエア。KVMやXen、VMware ESXi、Hyper-Vといった仮想化ソフト(ハイパーバイザー)と組み合わせ、IaaS(Infrastructure as a Service)やストレージサービスを提供するための仮想マシンやストレージ、ネットワークの管理機能などを提供する。IaaSとは、仮想マシン単位でリソースを利用できるようにするサービスのことである。

 OpenStackを使って構築したクラウド環境は、統一したAPIや認証を使って管理できる。また、IaaSのパブリッククラウドサービスで最大手であるAmazon EC2と互換性を持つ。OpenStackを使って自社環境にプライベートクラウドを構築すれば、Amazon EC2と組み合わせてリソースを融通し合えるハイブリッドクラウドの構築も可能だ。

 前述したようにOpenStackはオープンソースソフトウエアとして開発されている。もともとは米航空宇宙局(NASA)と米国の大手データセンター事業者であるラックスペースが中心になって開発していた。そして2012年9月19日、開発やライセンスの管理はすべて、850を超す企業や組織による非営利団体OpenStack Foundationに移管された。同団体には、米IBMや米インテル、NEC、米ヴイエムウェア、米シスコシステムズ、米ヒューレット・パッカードといった多くの大手ベンダーが参加している。これが、特定ベンダーの技術に偏らないソフト開発につながっている。

 OpenStackを構成する要素には、仮想マシンを管理する「Compute」(コード名Nova)、仮想マシンのディスク機能を提供する「Object Storage」(Swift)、外部ストレージを管理する「Block Storage」(Cinder)などがある。こうした中核となる要素は「コアプロジェクト」と呼ばれ、コアプロジェクト単位で開発が進められている。

 2012年9月27日に公開された新版「OpenStack 2012.2」では、新たにネットワーク機能を提供するコアプロジェクト「Networking」(Quantum)が追加された。Networkingはこれまで実験的に公開されていたが、新版でコアプロジェクトに昇格した格好だ。

 Quantumは、OpenFlowを使って仮想ネットワークを制御する機能を提供する。仮想スイッチの「Open vSwitch」に加え、シスコやニシラ(ヴイエムウェアが買収)が提供する商用製品にも対応する。