パナソニック エナジー社情報企画グループ企画チーム主任SEの太田昌寿氏
パナソニック エナジー社情報企画グループ企画チーム主任SEの太田昌寿氏
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 パナソニック エナジー社(以下、エナジー社)は2010年5月から開始した社内のパソコン約3000台へのファイル圧縮ツール導入の費用対効果が、運用費を含めて年間1600万円以上に上るとの算定結果を明らかにした。同ツールによって、「ファイルサーバーのディスク増設を抑えることができる」(情報企画グループ企画チーム主任SEの太田昌寿氏)という効果を見込んだものだ。

 エナジー社では情報セキュリティマネジメントシステムのISO27001/ISMS認証を取得するに当たり、2007年から個人のパソコンへのファイル保存を禁止。原則としてファイルサーバーに保存するよう社員に強制している。この施策の影響で、サーバーに保存するデータの容量が急増し、毎年3テラバイトずつ増加するようになった。このペースでは2010年にはサーバーのディスク容量が不足することが確実だった。

 ディスク増設などの新規投資を抑えるため、ひとまず2009年6月に、全社規模で不要なデータファイルを手作業で削除する「電子ファイル バスター」活動に励んだが、期待したほどディスク容量の余裕は生まれなかったという。「自分でもやってみたが、手作業で要不要を判断する作業は膨大な時間を要して負担が大きかった」と太田氏は打ち明ける。

 そこで別の解決策を検討したところ、英ニューパワーソリューションズのファイル圧縮ツール「NXPowerLite」の活用策が浮上。一部の利用部門のパソコンに試験導入したところ、平均40%の圧縮効果を得た。ソフトの導入コストは、ディスク容量の節約によるコスト抑制効果を考えれば1年足らずで回収できる勘定だという。

 同ツールのインストール作業を各部門の社員に任せていることもあって、6月末時点の導入率は1割程度にとどまるものの、導入した部門の評価は好評という。「特に通信環境が十分に整っていない海外拠点の部門の評価が高い」(情報企画グループ企画チーム主任SEの太田氏)。

 意外だったのは、「ファイルを添付したメールの送受信の時間を節約できる」との好評の声が上がったことだ。以前の一部の海外拠点では、大容量ファイルが添付されたメールを受信するのに5分以上かかることがしばしばあったという。

 こうした好評の声を広めるなどしながら、太田氏は各部門のパソコンへの導入を促す考えだ。