セキュリティへの投資はビジネスを加速させ、企業の成長戦略を助けるドライバーとなる。世間でのセキュリティのイメージは「あれも駄目、これも駄目とビジネスの邪魔をする阻害要因」といったものかもしれない。しかし、セキュリティの在り方はそうしたものでは決してない。今回からはその具体例を述べていこう。

 多くの企業の経営層が持つ問題意識として、「意思決定スピードの向上」や「従業員のコンディションに応じた柔軟な働き方の支援」がある。それを実現するIT基盤となるのが「3A」を満たすものだ。

 3Aとは「A」で始まる三つの英単語で「Anytime」(いつでも)、「Anywhere」(どこでも)、「AnyDevice」(どんなデバイスでも)のこと。これを満たすIT基盤であると、高い生産性を期待できる。3Aを満たすIT基盤の実現に必要な要素としては、「テレワーク」と「BYOD」(Bring Your Own Device)の導入がある(図1)。

図1●「3A」のIT基盤
図1●「3A」のIT基盤

 テレワークとは、外出先や自宅など職場以外から業務を遂行すること。BYODは、会社支給のものだけでなく、個人所有端末を使用することだ。「テレワーク+BYOD=3A」という図式になる。ただし、これらは順序よく導入していく必要がある。IT基盤の3A化は、まずは会社支給端末によるテレワーク、次にBYODでの私物利用という流れで導入する企業が多い。

 最初は、会社支給端末だけを利用し、自席以外のどこにいても自席と同じように仕事ができる環境を構築する。次に、社員が個人所有する端末を利用したBYODを実現する。最終的には、テレワークとBYODを併用し、いつでもどこでもどんなデバイスでも利用できる3Aの働き方を可能にする。