富山、石川、福井、長野の4県で清涼飲料の販売・製造を手がける北陸コカ・コーラボトリングは、オープンソースソフトウエアを活用し、顧客管理システムを2012年10月をメドに刷新する。投資額は3000万円以内(日経コンピュータ推定)。商用ソフトを使う場合に比べて最大3割削減する。

 従来、グループウエアで顧客情報を共有していたが、事務所でしか入力作業ができない、操作手順が複雑といった課題があり、刷新に乗り出す。

 北陸コカ・コーラの情報システム子会社、ヒスコムが業務フローを容易に記述できるBRMS(ビジネスルール管理システム)を活用し、内製で開発する。大手のソフトの採用を検討したが、機能が過剰で高額と判断した。

 BRMSにはレッドハットのオ ープンソース製品「JBoss Enterprise BRMS 5.3(JBoss BRMS)」を採用()。商用の顧客管理パッケージ製品をベースにした場合に比べて、コストを2~3割抑える。さらに「オープンソースでバグの修正が早く、新機能のリリースサイクルも短い」(ヒスコムの渡辺剛幸取締役システム部長)と稼働後の効果も見込む。

図●北陸コカ・コーラが新しく構築する顧客管理システム
オープンソースのBRMSなどを活用し、最大3割の投資削減を見込む
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 JBoss BRMSはシステムに組み込みたい業務プロセスのルールをフロー図上で作成でき、開発時のプログラミング作業を極力なくすことができる。保守も容易だ。組織変更で承認フローが変わっても、グラフィカルな画面でルールの定義を変更すれば済む。

 顧客情報を更新しやすくするため、外出先でも情報を入力できるようにしたうえで、営業員にタブレット端末を配布する。さらに、日本商工リサーチの企業データを使い、顧客データベースを充実させる。上長などが商談の経緯を追跡できるようにもする。

 PCやタブレット端末など、複数の端末を利用する。このため韓国トゥービーソフトのユーザーインタフェース開発ツール「XPLATFORM」を採用。複数のOSや画面サイズの端末への出力に対応でき、端末ごとに異なるプログラムを開発したり、保守したりする必要がなくなる。

 タブレット端末は営業戦略の情報収集にも利用する。GPS(全地球測位システム)と内蔵のデジタルカメラを使い、自社だけでなく他社の自動販売機の位置情報を収集。エリアマーケティングに生かしていく。