著者は楽天の執行役員で、同社の未来へ向けた技術開発を担う楽天技術研究所の所長を務める。その著者が予見する「大変化」とは、インターネットにより、富や情報が、政府や大企業のような大企業に集積され管理されていた世界から、分散した個人や小さなコミュニティにより共有される世界への移行である。この転換によって起きる、大組織から個人やコミュニティへ主役交替、それが本社の副題である「パワーシフト」である。

 本書は、このような変化をもたらすインターネットの技術群、クラウドコンピューティング、Twitter、Kindle、iPadなどを紹介しているが、読み進むうちに、それらが「パワーシフト」というひとつの流れに位置づけられることが浮かび上がってくる。そして著者は、インターネットの力を活用し「誰もがイノベーションを生み出す」、「新しい個人」の時代の到来を予測する。本書は読者に未来へのビジョンと前へ進む勇気を与えてくれるだろう。

ウェブ大変化

ウェブ大変化 パワーシフトの始まり
森 正弥著
近代セールス社発行
1575円(税込)