ERP(統合基幹業務システム)「ZAC」をパッケージとSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型の両方で展開するオロ。ここ数年、倍々ゲームで売り上げを伸ばしている。海外展開や事業の多角化を目指す川田篤社長に、成長戦略などを聞いた。(聞き手は島田 昇=日経コンピュータ)

「ZAC」とはどのような製品なのか。
販売、購買、経理、ワークフロー、在庫、勤怠、閲覧などの機能をモジュールとして提供するERP(統合基幹業務システム)ソフトだ。パッケージとしての販売だけでなく、SaaS型でも提供している。モジュール化された機能をどれだけ使うかで価格が決まるため、企業の成長に合わせたシステム投資が可能になる。コスト意識が高い中小企業でも導入しやすいこともあり、導入企業数は急速に伸びている。
なぜ機能をモジュール化しているのか。
カスタマイズに伴う負担を、コスト面でも作業面でも軽減するためだ。ERPは本質的に、「ああしたい、こうしたい」の塊である。それを毎回、カスタマイズしていては、リスクもコストも高くなる。全くカスタマイズしないというわけではなく、モジュールを機能拡張すれば、そうした課題は解消できる。当社ERPのカスタマイズ費用は、他社と比べると圧倒的に少ない。
そもそもパッケージを作ろうとしたのも、同じ理由からだ。複数のシステム構築をする際に、基本的にパラメータ変更だけで対応できるようにすれば、カスタマイズのリスクもなく効率も良い。属人性も減るため、保守・メンテナンス作業も劇的に改善する。
スクラッチでは属人化のリスクはなくならない
1999年に会社を設立した当初は、受託開発を主力に事業展開してきた。上場を控えた企業のシステムをスクラッチで作ったところ、その顧客の紹介で似たような会社のシステムを多数作り続けることになった。しかし、ゴリゴリと毎回作りこむ方法では、カスタマイズ費用もかかるし、保守やメンテナンスも属人性が高まってしまう。ドキュメントをいくら作っても、属人化のリスクはなくならない。
SaaS型の利用者が多いのか。
まだパッケージを利用する企業のほうが多い。SaaS型は、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)という呼び方しかなかった2006年6月から始めている。SaaSが注目されるかどうかとは関係なかった。機能がモジュール化されているため、パッケージをSaaS対応にすることが比較的容易だったからだ。
SaaS型を利用するのは、トライアルから入ってくるような中小企業が多い。2010年に入ってから料金体系を改め、よりSaaS型を利用しやすくしたので、今後はSaaS型の利用者比率が上がっていくだろう。
最近の重点課題は、価格体系の見直しを含め、いかに商品の価格を下げられるかだ。例えば、クライアントとの打ち合わせを対面ではなくテレビ電話にするなど、価格を下げるための仕掛けを様々な視点で考え実行していく。
中国市場進出も3年計画で考えている。今はその準備段階だ。言語や機能のグローバル対応を進め、世界に通用するサービスに育てたい。