定額制の音楽聴き放題サービスと並び、にわかに盛り上がりを見せているのが定額制の動画見放題サービスだ。きっかけは、世界最大の動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」(運営は米ネットフリックス)が2015年9月に国内で始まったこと(図1)。ネットフリックスは1997年に米国で創業。当時はオンラインによる会員制レンタルDVDサービスを手掛けていたが、2007年に動画配信サービスを開始、現在全世界で6500万人超の会員を擁する。

●2015年9月から始まった「Netflix(ネットフリックス)」
●2015年9月から始まった「Netflix(ネットフリックス)」
図1 独自制作のドラマなどを数多くそろえる
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 その規模から“黒船”とも呼ばれる同サービスの強みは、質の高い独自番組を制作している点。代表作の「ハウス・オブ・カード野望の階段」は、2013年に米国テレビ界のアカデミー賞といわれる「エミー賞」において3部門を受賞した。これは動画配信サービス発の番組としては史上初。日本でもフジテレビジョンと独自番組制作に合意し、日本向けコンテンツ提供を強化した。さらにプレミアムプランでは4K動画が視聴可能で、高画質にも注力している。

 Netflixより一足先に日本に上陸したのが同じく米国発の「hulu(フールー)」(運営は米フールー)だ(図2)。2011年8月、鳴り物入りで国内提供を開始したものの、会員数が伸び悩み停滞。2014年2月に日本テレビが米フールーから日本向け事業を買収してテコ入れを図り、現在では国内の会員数が100万人を突破した。

●国内で提供される主な定額制動画見放題サービス
●国内で提供される主な定額制動画見放題サービス
図2 世界最大の動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」が国内でサービスを開始。競争が激しくなっている ※Amazonプライム・ビデオの対応デバイスは2015年9月時点
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 日本勢は、まず国内最大級の460万人超の会員を抱える「dTV」が先陣を切る。エイベックス通信放送が運営、NTTドコモが提供し、月額540円(税込)という低料金を実現。今後は独自番組の制作にも力を入れる。ほかにもさまざまなサービスがあるが、コンテンツの多さも含めて国内ではdTVとともに「U-NEXT」が頭一つ抜け出している。

 そして2015年9月、アマゾンジャパンが日本向けの「Amazonプライム・ビデオ」を開始した。既存の有料会員サービス「Amazonプライム」の1メニューとして提供するもので、登録済み会員にはお得感がある。

 いずれのサービスもマルチデバイス対応を図り、自宅では大画面テレビ、出先ではスマートフォンや携帯ゲーム機など“いつでもどこでも”視聴できる利便性をうたう。低料金化や良質なコンテンツの増加に伴い、さらなる競争の激化が予想される。