データを共有できるネットワークドライブとして普及したNAS(LAN対応ハードディスク)。最近はさまざまな付加価値を持った製品が登場し、家庭内LANの活用範囲を広げるメディアサーバーとしての性格を強めている。
家庭内で共有したいデータの筆頭は写真、動画、音楽などのメディアデータだろう。しかし、テレビ番組の録画データはDRM(著作権保護のためのコピープロテクト)で保護されており、単なるファイルサーバーではコピーや再生ができない。ネットワークでDRMに対応する技術DTCP-IPを搭載したNASであれば、BDレコーダーやテレビなどからのDRMにのっとったダビングやムーブが可能になる。あらゆる動画をNASで一元管理できるメリットは大きい。
NASの記録媒体は基本的にハードディスク(HDD)であるため、HDDが壊れると保存していたデータが読み出せなくなってしまう。そこでRAID機能を搭載し、故障してもデータが失われにくい製品も人気が上がってきた。ただし、HDDを二重化するため保存容量は搭載HDD容量の半分程度になる。
Wi-Fiなどの普及により、家庭内LANにスマホを接続することも当たり前になってきた。NASのコンテンツをスマホにコピーし戸外で再生したり、録画したテレビ番組の視聴、スマホで撮った写真や動画の格納など、より多彩な楽しみ方ができる。
デジタル家電との連携機能も見逃せない。録画資源の有効活用や交換を考えているなら要チェックだ。スキャナーやデジタルカメラ、プリンターなどUSB対応の周辺機器を接続して、LAN内の端末で共有可能なUSBデバイスサーバーとして使ったり、外付けHDDを接続して保存容量をアップできる機能を持つ製品もある。Webサーバー機能が搭載されていれば、LANのネット回線経由で戸外からのアクセスも可能になる。
ユニークなところとして、写真や動画の保存に特化し共有デジタルアルバムとしての使い勝手を向上させた製品も一考の価値ありだ。今やNASは単なる共有HDDではなく、家庭内LANの便利さを大きく広げるデバイスになりつつある。