通常の携帯音楽プレーヤーやスマートフォンで聴いている音楽は、MP3やAACへの変換時に劣化している。また、普通のオーディオCDにも規格上の限界がある。より高い音質を求めるなら、ハイレゾプレーヤーの導入を検討してみよう。

 デジタルオーディオの音質は音の解像度である量子化ビット数とサンプリング周波数に左右される。16ビット/44.1kHzである普通のオーディオCDを超える高解像度のものが「ハイレゾ」だ。24ビットなら16ビットの256倍、192kHzなら44.1kHzの4倍以上なので、トータルの解像度はCDの1000倍を超える。また、非可逆圧縮しない点も大きな特徴だ。

 ハイレゾのデータは高音質のため、どうしてもサイズが大きくなる。無圧縮の楽曲データなら、サンプリング周波数×量子化ビット数×チャンネル数×時間(秒)で概算を求められる。ロスレス圧縮したFLACなら数十パーセントは小さくできるが、それでもMP3やAACと比べるとはるかに大きい。従って、内蔵メモリーやmicroSDカードの容量は大きいほどよい。

 ハイレゾオーディオを楽しむには、スピーカーやヘッドホンも高性能のものが必要だ。現状では有線接続が基本だが、Bluetooth対応のプレーヤーなら、ハイレゾ対応のワイヤレスヘッドホンを選んで使い勝手を向上させることも可能だ。

 ハイレゾオーディオの多くはPCM方式で音源をデジタル化しているが、スーパーオーディオCD(SACD)などで使われるDSD、通称1ビットオーディオという方式も存在する。このDSDを再生する場合、モデルによって方法に違いがある。まず、そのままで再生可能なネイティブ再生対応。次に、ネイティブ再生に非対応だがPCMに変換して再生可能なモデルも多い。低価格モデルの一部には、DSD非対応の製品もあるので注意しよう。

 価格帯は2万円台から数十万円まで幅広い。5万円以下は入門用、10万円以上は高級機と考えよう。

製品選びのポイント

音声信号をデジタル化する際の量子化ビット数とサンプリング周波数が通常のオーディオCDを超えるものをハイレゾと呼ぶ。音質が劣化する非可逆圧縮は行わない
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FLACファイルはサイズが大きくなりがちなので、内蔵メモリーは多い方がよい。また、それを補完するmicroSDカード対応機種であることが重要になってくる
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ワイヤレスは便利だが音質が低下するといわれてきた。最近はハイレゾ音質で伝送できる製品や、ノイズキャンセル機能を搭載した製品も登場してきている
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