セイコーエプソンが、インクジェットプリンターのビジネスモデルを転換しようとしている。1月12日に製品発表会を行った新製品「エコタンク搭載プリンター」は従来のようなインクカートリッジを使用せず、インクはユーザーが自分で注ぎ足せる大容量タンクから供給する方式を採用(写真1、写真2)。そうすることで「従来の1/10以下の圧倒的な低ランニングコストを実現した」(セイコーエプソン常務取締役プリンター事業部長の久保田孝一氏)。
ただし、エコタンク搭載プリンターは、本体価格を従来の同等機よりも高めに設定している。例えば、2016年1月におけるEW-M660FTの同社直販価格(以下、すべて同じ)は5万4980円だが、ほぼ同等性能のPX-M650Fは1万9980円だ。
これまでのプリンターは、機器本体は安めに提供して、インクカートリッジを追加で何セットか買ってもらうことでコストを回収するというビジネスモデルを採ってきた。だからこそ、インクカートリッジ1~2セット分の金額で買えてしまうような特売プリンターが存在したし、ユーザーとしては純正インクを割高に感じることが多かった。
しかし今回の新機種は、明らかに方向性が異なる。それは製品発表会でエプソン販売の代表取締役社長である佐伯直幸氏が、今回の新製品を「私どもにとって非常に大きな意味を持つ商品」と紹介し、同社取締役販売推進本部長の鈴村文徳氏も「今までのインクカートリッジ型とは全く違ったビジネスモデルの製品であり、これまでになかったプリンター」と言い切っていたことからも明らかだ。もちろん新機種にはコスト面だけではなく、インクタンクの容量が大きいためインク切れの不安から解放され、インクカートリッジを買ってきたり交換したりする手間がかからないというメリットもある。