2015年10月29日、富士通がパソコン事業と携帯電話事業の分社化を発表した。100%子会社を新たに設立し、経営判断の迅速化と徹底した効率化を図り、機敏に新製品を投入していくという。

 ここ5年の間に、国内大手家電メーカーのパソコン事業は大きく変わった。2010年10月にシャープが撤退したのを皮切りに、2011年7月には国内最大手のNECがレノボとの合弁会社「NEC レノボ・ジャパン グループ」を設立。同グループの100%子会社として「NECパーソナルコンピュータ」が発足した。2014年7月にはソニーのパソコン部門が「VAIO株式会社」として独立。今回の富士通は国内第2位のシェアを誇るだけに、改めて動向が注目される。

 富士通の発表から9日後の11月7日には、東芝が2015年度第2四半期決算説明会を開催し、その中で不採算部門として示されたのが、テレビ、家電、パソコンを含むライフスタイル事業だ。東芝ではこの部門に対し、「構造改革について、あらゆる可能性を制約を設けず検討中」と説明している。

 東芝のパソコン事業は国内第3位。仮に独立するような状況になれば、国内のトップ3が分離することになり、“大手家電メーカーが作るパソコン”の常識が覆ることになる。

 こうした動きは国内にとどまらない。2014年実績で世界第2位(第1位はレノボ)のシェアを持つ米ヒューレット・パッカード(HP)は、2014年10月にエンタープライズ事業とパソコン/プリンター事業の分社化を発表、2015年11月1日に分社化した。日本では一足早く2015年8月1日に「日本HP」を新設した。