2015年から2016年にかけ、米マイクロソフトが提供する「Windows 10 Moblie」を搭載したWindows Phoneが続々と発売または発表され、国内でも活況を呈している。2016年2月にスペイン・バルセロナで開催されたモバイル通信機器の国際見本市「Mobile World Congress(MWC) 2016」では、同社のブースにマウスコンピューター、VAIO、トリニティなど日本企業のWindows Phoneが並んだ(図1)。国外においては、同社が手掛ける「Lumia」シリーズがWindows Phoneの代名詞だが、今回の展示は日本発のWindows Phoneを世界に印象付けた。

●活況を呈す国内のWindows Phone
●活況を呈す国内のWindows Phone
図1 Mobile World Congress 2016に出展した米マイクロソフトのブース。日本企業のWindows Phoneが数多く展示された(写真:岩元直久)
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 Windows 10 MoblieはWindows 10をスマートフォン向けにしたOSで、ユーザーインタフェースが共通であることからパソコンユーザーにも使いやすい。標準でWord、Excel、PowerPoint、OneNoteをパッケージした純正の「Office Mobile」が付属し、ファイルの閲覧のみならず編集もできる。さらにWindows Phoneは、大画面に出力してマウスとキーボードを用いてデスクトップパソコンのように使える「Continuum」と呼ぶ目玉機能を備える。

 こうした特性を前面に打ち出し、“ビジネス利用”を掲げたのがVAIOによる「VAIO Phone Biz VPB0511S」だ(図2)。VAIOと言えばAndroidスマートフォン「VAIO Phone」が記憶に新しいが、VAIO Phone Bizはアルミ削り出しのきょう体で高級感と堅ろう性を出すことに注力。スペック面でもContinuum対応をはじめ、5.5型フルHD(1080×1920ドット)液晶、3GBメモリーの搭載など、ビジネスに適した高機能・高性能な仕様となっている。発売は2016年4月を予定。国内の他機種同様、SIMフリーモデルであり、個人ユーザーも購入できる。そのほかに、VAIOはNTTドコモ、ダイワボウ情報システムと協力して法人向けの販売体制を構築しており、積極的に法人需要を開拓していく。

図2 アルミ削り出しのきょう体が特徴の「VAIO Phone Biz」。国内の安曇野工場で最終検査を実施する
図2 アルミ削り出しのきょう体が特徴の「VAIO Phone Biz」。国内の安曇野工場で最終検査を実施する
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 日本メーカー以外では、米HPがMWC 2016で「Elite x3」を発表し話題を呼んだ(図3)。Elite x3はモバイル向けハイエンドCPUである「Snapdragon 820」を搭載し、無線のみならず、別売の純正ドックに装着して有線でのContinuum利用が可能(VAIO Phone Bizは無線利用のみ)。約6型の大型画面、1440×2560ドットの高解像度、4GBのメモリーと、VAIO Phone Bizを上回る仕様となっている。日本ではKDDIが法人向けに販売する。発売は今夏の予定だ。VAIO Phone Bizと並び、法人市場におけるWindows Phoneのけん引役になると推測される。

図3 HPが手掛ける「Elite x3」は、国内ではKDDIが法人向けに販売する予定である
図3 HPが手掛ける「Elite x3」は、国内ではKDDIが法人向けに販売する予定である
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