「Dropbox」などのオンラインストレージサービスを使って文書ファイルをクラウド上に保存しておけば、スマホやタブレットでいつでも見られる便利な時代。職場で保存したファイルを自宅で確認するのも簡単だ。

 しかし、グラフなどが組み込まれている少し込み入ったOffice文書は、スマホの小さい画面ではなく紙に印刷してじっくりチェックしたい場合も多いだろう。メールで受け取った添付ファイルも同様に、印刷して見たいと思うケースがままある。

 そうしたとき従来は、ファイルをパソコンで開きなおして印刷していた。プリンターがスマホやタブレットに対応していても、WordやExcelなどのOffice文書はスマホで正しく開けなかったからだ。特に、図形やグラフが入っていると正しく表示できず、互換アプリでも完全な再現は難しかった。

 ところが、そんな今までの“常識”が変わってきた。Microsoftは2014年9月にiOS版の純正Officeアプリを公開し、Office文書を正しく開いて難なく印刷できるようになった。個人的な利用なら「Office 365」の有償契約をしなくても利用できる。2015年2月には7型以上のタブレットで動くAndroid用の「Microsoft Excel for Tablet」も公開された。こちらも10.1型以下のタブレットなら無償で利用できる。そこで、図形やグラフ入りのExcel文書を使って実際に印刷を試してみた。

印刷サンプルに使用した、図形やグラフ入りのExcel文書。拡張子が「xlsx」のExcel 2007以降用で、ファイル容量は19.3KB。
印刷サンプルに使用した、図形やグラフ入りのExcel文書。拡張子が「xlsx」のExcel 2007以降用で、ファイル容量は19.3KB。
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 試してみた感触では、モバイル版のOfficeアプリは動作がやや重いものの、確かにOffice文書を正しく開いて印刷できた。パスワードで保護した文書や簡単なマクロを含む文書も、試した範囲では印刷できた。できてしまえば当たり前のようなことだが、印刷のためだけにわざわざパソコンを起動する必要がないのは楽だ。スマホで受け取ったメールの添付文書もスマホの操作だけで手軽に印刷できてしまう。

 Microsoftは現在、Officeを様々なプラットフォームに対応させているが、記事執筆時点ではまだAndroidスマホに対応したOfficeアプリが登場していない。そこで、ファイルを正しく開けなかったときの次善策として、「リモート印刷」や「メールプリント」といったプリンター側の仕組みを使うテクニックも改めて試した。さらに、有償にはなるがコンビニの複合機を使う方法など、Officeアプリを使わない方法についても併せて試してみた。外出先で、急に印刷しなくてはいけないときに、知っておくと便利だ。



【今回試した6つの印刷方法】

●iPhoneでiOS版「Microsoft Excel」を使って印刷
●Androidタブレットで「Microsoft Excel for Tablet」から印刷
●セイコーエプソンのアプリ「Epson iPrint」経由でリモート印刷
●Outlookメールに添付して「メールプリント」で印刷
●「ネットプリント」を使ってセブン-イレブンで印刷
●「ネットワークプリント」を使ってファミリーマートで印刷