平野所長(以下、平野):直井さん。そういえば、○○産業さんから研修テキストの提出依頼があったけど、あの件って返事した?

直井研究員(以下、直井):はい!もちろん。依頼があったその日のうちに回答していますよ。

平野:おかしいなぁ。さっき催促のメールがきていたよ。

直井:え?ちゃんと送りましたよ。返信漏れはないはずですが。

平野:もう一回確認してみてね。メールに100%はないからね。もしかしたら、通信トラブルで送れていないかもしれないよ。

直井:分かりました。調べてみます……。あれ……。

平野:どうした?

直井:あの……返信をした形跡がありません。なんでかなぁ……確かに返信をしたんです。

平野:夢でも見ているんじゃない?これだけたくさんのメールが届いているから抜け漏れがある可能性は十分にあるよ。

直井:所長のせいです。

平野:いきなりなんだい。

直井:メールの悪夢にうなされるくらい過酷な労働をしているんです。毎日100通近いメールが届き、すぐに判断することが求められます。年間3万通は超えています。かなりの数です。どこかに漏れが出るのも仕方がないと思うんです。

平野:まあ、これは仕事だからね。でも、直井さんが言うとおり抜け漏れが出る可能性は残るよ。私だってそうだ。でも、抜け漏れが出る確率を限りなくゼロにすることが重要じゃないかなぁ。

直井:所長でもゼロにはできないんですか?

平野:もちろんだよ。人がやることだしシステムも絡む。だから可能性はゼロにはできない。でも、限りなくゼロに近づける努力をするべきだ。普段から、そういった気持ちで対応していると、返信がないときに相手が気付いてくれやすくなる。

直井:いつもすぐに返信をしてくれる平野所長から返信が来ないぞ。なにかあったのかな?どうしたんだろう?って気付いてくれるってことですか?

平野:そうだよ。普段からの行いが大事だね。

直井:普段から返信が遅い、抜けが多いと「いつものことか」と相手も気にしてくれなくて、返信がなくても「どうしたんだろう」とケアしてくれないかもしれません。でも、どうやったら抜け漏れを限りなくゼロにできるんですか?