CBTはComputer Based Test/Testingを略した用語。コンピューターを用いて実施する試験のことで、各種検定・資格試験を中心に採用されている。2015年、文部科学省が大学入試への導入を示唆して話題を呼んだ。

 「CBT」とはコンピューターを用いて、マウスとキーボードを利用しながらディスプレイに表示された問題に解答する試験方式のこと。1980年代に始まったとされ、インターネットの普及とともに発展した。紙によるテストと比較して場所に束縛されない利便性、採点の即時性、データ管理のしやすさなどの特徴がある。実用英語技能検定(英検)、日本漢字能力検定(漢検)、TOEFL iBTといった語学系の検定をはじめ、ICTプロフィシエンシー検定試験(P検、旧パソコン検定)、ビジネス能力検定などで幅広く採用されている。

 教育現場での導入例もある。国内では大学の医学部・歯学部・薬学部において臨床実習開始前の共用試験の一つとしてCBTが採用され、当該学部の学生にとってCBTは避けては通れないものとなっている。

 このCBTを大学入試に生かそうとする動きが出てきた。2015年9月、文部科学省が設置する「高大接続システム改革会議」が、今後の高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜について議論した「中間まとめ」を公表。その中で、高等学校2~3年生を対象とした「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と、現在の大学入試センター試験の代替となる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」においてCBTの導入を示唆した。まず前者を平成31年度(2019~2020年)から開始し、その実績を踏まえながら後者を平成36年度(2024~2025年)からスタートする予定だ。

 「中間まとめ」では、動画や音声への対応、正答率に応じた難易度を設ける「適応型テスト」への拡張などをCBT導入による効果として挙げた。一方で50万人規模ともいわれる試験ではCBTの前例がないこと、システムの安定性やセキュリティの担保、機器導入コストなどの問題も列記した。

 受け入れ側となる国立大学協会も、技術的課題を不安視している。加えて、大学入試志願者の約7割が受験する大学入試センター試験の検証をするべきとしており、性急な結論ではなく、より成熟した制度設計を望んでいる。

「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」について
「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」について
高大接続システム改革会議が公表したCBT導入の概要。高大接続システム改革会議「中間まとめ」より抜粋・編集した
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