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松浦晋也「人と技術と情報の界面を探る」

ドローンを規制すれば日本は衰退する

松浦 晋也=ノンフィクション作家 2015/05/11 PC Online

 4月22日に首相官邸屋上で、クアッドコプターという形式の無人航空機(ドローン)が墜落しているのが発見され、搭載された容器中から微量の放射性物質が検出されたために「テロだ」と大騒ぎになった。25日には福井県小浜市在住の男性が、自分がやったと出頭した。容器中は福島第一原子力発電所付近の砂で、原発政策への抗議として4月9日に飛ばしたものだと供述した。

 この件で、急に「ドローンの危険性」がクローズアップされ、政府は規制法制作りに動き出した。

首相官邸屋上に墜落したのと同型の「ファントム2」(メーカーのDJIホームページより)。
[画像のクリックで拡大表示]

 法制化を急ぐ政府の態度に対する私の意見は、「なにをバカな」だ。ドローンは大変有用で、これからの社会を一変させるだけの可能性を秘めている。その安全かつ有効な利用法は、十分な議論をした上で決めて行くべきで、法整備に当たっては可能性を殺ぐようなことをしてはいけない。そんなことをすれば、日本だけが技術革新による社会の変化についていけず、国際社会の経済的繁栄から脱落することになるだろう。

 今回の事件で使われたのは、中国のベンチャー企業DJIが販売している「ファントム2」というドローンだ。12万円ほどで誰でも買えるし、GPSのナビゲーションとコンピューターによる姿勢制御で誰でも飛ばせる。ただし、そんなに重いものを積むことはできない。多くは、小さなデジタルカメラを積んで空中撮影を楽しむために使われている。

 このレベルのドローンが、官邸に落ちていたといっても、実害は子どもの飛ばした模型飛行機が窓から飛び込んできたのと大して変わらない。放射性物質が積んであったといっても、少量の福島の砂でしかない。それは今の日本の現実そのものだ。発する放射線はごく弱く、たとえ多少散布されたとしてもどうということはない。

 今回のことは、困った人が困ったことをやったというだけで、いいところ所轄警察で「官邸の上を飛ばすなんて、あんた社会人としての常識をわきまえなさい」とこってりお説教しておしまいにすべき事案だろう。むしろ、4月9日に落ちた機体が、22日になるまで見つからなかったという点で、官邸警備のお粗末な盲点を指摘したとして、やった男性が称賛されてもいいのではないかとすら思う。

 今回の事件で、一番恐ろしいのは、かなり数の閣僚と国会議員、そして事件を報じるメディア関係者が、この事件が起こるまでドローンというものをそもそも知らなかったらしいということだ。その状態で事件が起こったので、、「ドローンって怖い」という反応が先に立ち、規制に向けて立法という方向へ進みつつある。科学技術に対する無知が恐怖を生み、恐怖が間違った法律を作り、社会の足を引っ張るという負の連鎖が起こりつつあるように見える。

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