人工知能と人間の会話というと何を思い出すだろうか。「2001年宇宙の旅」のHAL9000、「ナイトライダー」のK.I.T.T.(キット)、スターウォーズのC-3PO、どれも賢く人間の相棒として活躍してくれている。ついでにいつもC-3POの隣にいるR2-D2は人間の言葉は話せないものの寡黙で、果敢で、メカに強くてなんてかっこいいのだろうとほれぼれしてしまう。

 アニメに出てくるロボットを挙げるとアトムからドラえもんまでたくさんいる。数十年前のフィクションだと本当に想像の世界となるが、近年の作品になると少しずつ現実味が現れてくる。例えば2008年から公開されたアニメ「イヴの時間」に出てくる家事を補佐するロボットたち。主人公はロボットにこんな風に話しかける。

 「質問。(ためらった後に)質問、キャンセル。コーヒー」

 カーナビの音声操作に似ているような気がした。家電の操作を会話にしたかのような。背後にフローチャートが見えるようである。会話としてはぎこちない。

 前回紹介したようなSiri、あるいはスマートフォンに搭載された音声案内となると、もう少し賢くなっている。さきほどSiriに「3分たったら教えて」と言ったら「怪獣と戦うんですか?がんばってください。3分タイマーをセットしました」などと言っていた。冗談のレベルとしては……悪いけど、いまいちかな。コンピュータとの意思疎通はまだ発展途上中ではあるが、これから加速的に伸びていくような気がしている。

 最近ではIBMの人工知能「ワトソン」が会話と判断能力を備えた人間の相棒として、日常やビジネスに食い込んできそうである。もうクイズ王を狙うだけの存在ではない。ひとつは医療分野。大量の文献やカルテなどのデータを読み込み、学習し、適切な治療方針を提案するための実用化に向けて準備が進められている。