シリコンバレーには、スタートアップを育成する「アクセラレーター」と呼ばれる企業がいくつもある。ソフトウエア開発やインターネットビジネスだけではなく、今ではハードウエア開発のためのアクセラレーターも登場している。

写真1●米Matterによるデモデイの会場風景
写真1●米Matterによるデモデイの会場風景
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 そうした中で、メディアテクノロジーに関連するスタートアップの支援に特化したアクセラレーターが、サンフランシスコにある米Matterだ。同社が2015年12月9日に、5期生の成果をプレゼンテーションする「デモデー」を開催した(写真1)。

 Matterがスタートアップに提供する支援プログラムは、ほかのアクセラレーターと変わらない。スタートアップに5万ドルの補助金と20週間の時間を与える。支援を受けたスタートアップはその間、ほかのスタートアップと同じ空間で机を並べ、製品なりサービスなりを使える段階、いや客が既に使っているという段階にまで開発する。

 アクセラレーターを卒業する頃には、投資が受けられるくらい魅力的なサービスになっていることが求められている。もちろん、支援を受ける際には厳しい審査があることも、ほかのアクセラレーターと同じである。

 今回のデモデーでは、6社が自社のサービスをプレゼンテーションした。その中で興味を引かれた数社について簡単に説明しよう。

Redivis:パブリックデータをビジュアル化

 世界中のパブリックデータを集め、それをビジュアル化するためのツールを提供し、データのまわりにコミュニティーを作ろうというのは、Redivis(レディヴィス)というスタートアップだ。例えば、政府が発表しているデータ、調査会社が公開しているデータ、研究論文で使われたデータなど、世界には無数のデータがある。そうしたデータはビジュアル化することで、数字だけでは分からない事象が見えてくることもあるだろう。

 Redivisは、そうしたデータのオープンソースリポジトリ(格納場所)やビジュアル化のプラットフォームを提供する。そうすることでいろいろな人々がデータに簡単にアクセスしたり、データを見栄え良く加工したりできるようにする。データとデータの関係性もここから発見できるかもしれない。

 Redivisのプラットフォームは、研究者、ジャーナリスト、アクティビストを対象に開発したもので、既にスタンフォード大学の医学部が利用しているという。通常ならばデータサイエンティストに頼むようなことが、このプラットフォームである程度までできる仕組みだ。

Metta:VRビデオの共有サイト

 Metta(メッタ)というスタートアップは、ユーザーが撮ったバーチャルリアリティー(VR)のビデオを集めるサイトを作った。写真やビデオをアップして今日の出来事などを仲間に伝えるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)ならたくさんあるが、MettaはこれをVRだけでやる。