2015年3月25、26日の2日間、米サンフラシスコでフェイスブックの開発者会議「F8」が開催された。Facebookメッセンジャーの新しい利用方法など新たな発表があったり、フェイスブックでのビデオの使い方や、フェイスブックに倣う成長戦略を伝授するセッションがあったりするなど、いろいろ面白いテーマがあったが、個人的な目玉は、何と言ってもヴァーチャル・リアリティー(VR)を体験するコーナーだった。

 ご存知の通り、フェイスブックは2014年、VR用のヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)を開発した米オキュラス・リフト(Oculus Rift)を、創設して間もない頃に買収している。オキュラスの製品はまだ開発者向けにしか提供されていないが、同社と技術提携した韓国サムスン電子が「Gear VR」を発売済み。会場ではその両方が体験できた。

 私は、オキュラス・リフトがクラウド・ファンディングの「Kickstarter(キックスターター)」で資金を集めて開発にかかっていた頃に、あるイベントでこのHMDを体験したことがあったのだが、それ以降ものすごい速さでソフトウエアやコンテンツの開発が進んでいることが、この体験コーナーで痛感できた。予想を何倍も上回る出来栄えにびっくりしたと言っていい。

 VRの体験を文字で説明しようとするほどヤボな話もないが、ほんの少しだけ試みたい。

恐竜が自分の上をまたいで行く

 オキュラスのコーナーでは、いろいろなタイプのコンテンツが試せるようになっていた。例えば超高層ビルの屋上の、それも先端に立って町を見下ろすという高所恐怖症を煽られるようなコンテンツ。はるか下の道路を自動車が行き来しているのが蟻のように見える。足を踏み出しても、しょせんVRなのだから落下することはないと分かっていても、足元がすくむ。

 向こうから恐竜が歩いて来て、私の上をまたいで行くというコンテンツもあった。恐竜も風景も立体的で、臨場感たっぷり。恐竜が迫ってくる際に、頭の部分と尾っぽの部分の奥行きが感じられて、これは実に楽しい体験だった。