遅ればせながら、ドキュメンタリー映画「Citizenfour」を観た。米国家安全保障局 (NSA) による個人情報収集の手口を告発したエドワード・スノーデンを捉えた映画だ。NSAのインターネット監視を彼が暴露した、あの最もクリティカルな数日間を描いたものである。監督はローラ・ポイトレス。

ドキュメンタリー映画「Citizenfour」の公式サイト
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 われわれがスノーデンの姿を目にしたのは、監視問題がメディアで報じられて何日かたってから、香港のホテルにいるというスノーデンがインタビューに応じた映像だった。それを撮影したのがポイトレスで、インタビューを行っていたのが当時英国の「ガーディアン」紙に在籍していたジャーナリストのグレン・グリーンウォルドだ。

 ポイトレスは、このオフィシャルなインタビュー映像の他に、その前後をフィルムに収めており、それが今回のドキュメンタリー映画の中核となっている。あの整然とした静かな映像とは別に、スノーデンの生の姿や彼の感情が手に取るように感じられるものだ。

 映画は、その映像に加えて、スノーデンがポイトレスにコンタクトを取ってきたいきさつ、その方法、暴露報道のための打ち合わせで話し合われたこと、人道問題専門の弁護士と出会ったそのときのことなどが収められている。もちろん、付随情報としてホテルはどんなところで、彼がどんな服装でいたのか、どんな表情をする人間なのかといったことも分かる。どれも、スノーデンを肉付けして理解するための重要な要素だ。

 このドキュメンタリー映画は、最初から最後までひとこと漏らさず聞きたい、一コマ逃さず観たいと思わせるものになっている。その中でも特に印象に残ったスノーデンの発言は、「メディアはパーソナリティに重きを置きすぎる」というものだった。ポイトレスとグリーンウォルドに途中から加わった英国人ジャーナリストが、スノーデンの出身地や家族に対して質問をする中で出てきた発言だ。