ネスト(Nest)で組織再編成があったとのことである。

 ネストは、昨年グーグルに320億ドルで買収されたサーモスタットの開発会社だ。共同創業者のトニー・ファデル氏は、アップルで何世代にもわたるiPodとiPhoneの開発に関わってきた製品エキスパート。そこで鍛えられた完璧な製品づくりの精神を反映して、同社のサーモスタットや煙探知機はアップル流のシンプルで美しいデザインになっており人気を呼んでいる。

 そのネストで組織再編成があり、今回は同社のエグゼクティブが2人辞めるという。

 1人は、ネストが昨夏買収したばかりのドロップカム(Dropcam)の創業者兼CEO(最高経営責任者)であるグレッグ・ダフィー氏。ドロップカムは、早くからインターネットに接続されたセキュリティカメラを売り出し、一般消費者向けながら、夜間でも部屋の中の様子が見えるなど、プロ仕様の機能性が評価されている。

 もう1人は、ネストの創業時から開発に加わってきたヨーキー・マツオカ氏。テクノロジー担当の副社長という肩書だった。ロボットの専門家で、ネストでもアルゴリズムグループを率いて、ユーザーの生活を学習するという新しいタイプのサーモスタットの誕生に貢献した人物である。

 マツオカ氏は日本生まれで、カリフォルニア大学バークレー校やマサチューセッツ工科大学でロボットを学び、通称「天才賞」と呼ばれる名誉ある賞を受けたロボット研究の第一人者で、グーグルの先端ラボであるグーグルXの創設にも関わっている。

 ダフィー氏の方は、ネストとのカルチャー衝突があったと言われている。ネストの「ミーティング文化」に、ドロップカム側から加わった社員が不満を持っていたらしい。マツオカ氏の方は、おそらくネストの戦略変更のための離職ではないかと見られる。マツオカ氏はTwitterへ移籍するとのことだ。