今回のアップル新製品発表は期待に応える盛りだくさんな内容で、大いに楽しませてもらった。「画面を押しこむ」という新しい操作体系を取り入れたiPhone 6s、大画面化したiPad、アプリを通じての動画配信の道筋を切り開いたApple TVと、ユーザーにそれぞれ新しい使い方を提案し、ライフタイルの幅を広げる製品群、サービス。なかなかいいね、アップル。でも、かえって残念なギャップも広がり、やっぱり、Long and Windingな道は続く。

ご高齢の方には感涙もののiPad Pro

 私のiPad利用法は、取材時のメモ取り、メール送受信端末、資料整理・閲覧、音楽・ビデオ鑑賞、新聞・雑誌・電子書籍の購読、オーディオ装置のリモートコントロール、そして最近仲間に入ったのが、部屋の照明のリモートコントロール、とまあ、1台じゃとても間に合わないほどの活躍ぶりだ。

 新聞は紙の購読もしているが、最近はもっぱらiPad上で読んでいる。紙面イメージで読めるアプリもあるので、全ページを斜めに読み飛ばして目的の記事に行き着くと拡大表示、あるいはテキスト表示に切り替え、子細に読む。すごく快適……なのだが、紙を広げて読むときの効率、スピードにはかなわない。読みたい記事を見つけたあと、ちょうどよい大きさに拡大したり、じわじわとスクロールさせ、段が変わるとまた1行目の位置にそろえるという動作がなかなか面倒くさいのだ。

 老眼の進んできた私には、文字の大きさをちょうどよい大きさにズームさせたiPad上の記事はとても読みやすいのだが、全体の操作性が悪すぎる。なので、もし、同じ記事がMac上でも読めるなら、つい27インチのiMacを使ってしまうのだ。ところが、iMacは読む場所が固定されてしまって自由度が低い。

 あちら立てれば、こちらが立たず。本当に何とかならないか、と思っていたら、12.9インチのiPad Proが出て、うれしくて仕方がない。これなら、本を読むのもかなり、楽になる。これまでも、いまさらパソコンを始めたくない、といったご高齢の方にiPadを薦めてきたが、これはさらにお薦めだ。新聞や雑誌の一部を読むにはやはり、ズーム機能を使わなければならないが、小さな画面の一部を大きく引き伸ばすのと比べて、拡大比率は少なくて済む。使い勝手はかなり向上するはずだ(図1)。

図1●iPad Proの登場をアナウンスするアップルのTim Cook CEO(最高経営責任者)
図1●iPad Proの登場をアナウンスするアップルのTim Cook CEO(最高経営責任者)
A4サイズの書籍を縦にフル表示できるサイズだ。アップルが配信しているHD 解像度のPodcastから。ちゃんと、英語字幕も付き、分かりやすい
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