iPad上でも、あたかも専用に開発したかのようなWindowsアプリケーションが動く。Mac上で動く仮想環境のParallels Desktopはよく知られているがそれに加え数十人から数千人規模のユーザーがWindows アプリが使えるようになるParallels Remote Application Serverの新版が本格的に日本市場に登場した。クライアント側にはアプリもデータも置かないので盗難事故が起きても情報は守れる。しかも、管理の手間が極めて軽いため、運用コストも抑えられる。検討に値する新製品の登場だ。

Parallels Desktopで使うWindows

 Macの上で他のOSを動作させる「仮想環境」の一つParallels Desktopはよくご存じだろう。通常のMacの動作環境の中に、WindowsやLinux OSが動作する仮想プラットフォームを作り、Macのデスクトップ上でWindowsを動作させる。

 通常のWindowsアプリケーションをMac上で動かすことができて、どうしてもWindows環境でなければできないことがMacでもできて、窮状を救ってくれる。Windows上に構築された業務システムを扱いたいときなどに威力を発揮してくれる。Windows上でしか動かない周辺機器を使う場合にもParallels Desktopがあればなんとかなる。例えば、非接触型のICカード、Suicaなどに現金をチャージしたいときなど、Macでは如何ともしがたいが、ParallelsでWindowsを動かしてやれば、問題なく動作させられる(図1)。

図1●Macで非接触型ICカードにチャージする方法
図1●Macで非接触型ICカードにチャージする方法
ICカードリーダーをつないでもMacではSuicaや楽天Edyなどにチャージはできない。そんなとき、Parallels DesktopでWindowsを動かし、その中で操作すると利用履歴や、クレジットカードからのチャージができる。
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 3月15日で締め切りとなる国税の確定申告で書類を電子的に送付する際に必要となる電子証明書の付与にもWindowsが必要になる。現行のMac OS Xの10.11(El Capitan)ではICカードから電子証明書を読み出して添付する処理に正式には対応していないので、Parallels内でWindows 8.1などを起動して操作するのが無難だ。今年は住民基本台帳カードがマイナンバーカードに切り替わってしまった利用者も多く、取り扱いが更に複雑だ。先週の当コラム「マイナンバーカード取得の光と闇」で書いたように、筆者はこの時期にマイナンバーカード取得をしない、という選択をしたので、従来の住民基本台帳カードの公的個人認証サービスを使った電子証明書を使う予定だ。しかし、その場合も最新のMac OS X 10.11には対応していないので、10.10の環境を用意してやらなければならない。

 10.10の環境を用意するのもParallels Desktopが有効に使える。やはり、当コラム、「Mac の最新OS、El Capitanに採用されたマルウエア対策が起こす悲劇とその対策」に書いたような方法で旧Mac OS X環境を用意することができるので、その上で古い住民基本台帳カードを使うつもりだ。最新のOS X(El Capitan)を使っても、細部を工夫すれば 電子証明書が使えるかもしれないが、膨大な時間と労力がかかりそうなので、今年はParallels上のOS X 10.10(Yosemite)に頼るつもりだ。

 話が大きくそれてしまったが、日本のMacユーザーがイメージするParallelsとはMacで動かすWindows仮想環境だろう。