明けましておめでとうございます。年末に、待望のこんなものが届いてしまったので、新年宴会、ご近所ウオーキングで忙しい中、あれこれ調査中。プログラムさえうまく書ければ単体で家庭内電子機器をコントロールできるさまざまな「インテリジェント端末」が作れる。まだ調査を始めたばかりなので、自分で初夢に描いたデバイスを作り上げるところまでは行っていないが、かなりのものができそうな予感が……今年はこの「Kinoma Create」が家庭内IoT(Internet of Things)の要になってくれそうだ(図1)。

図1 正月休みに届いた「Kinoma Create」。単体でタッチパネル操作のIoTシステムが構築できる。温度測定などのアプリケーションは、500円くらいで売っている温度センサー一つを用意し、サンプルプログラムを動かすだけで完成だ。
図1 正月休みに届いた「Kinoma Create」。単体でタッチパネル操作のIoTシステムが構築できる。温度測定などのアプリケーションは、500円くらいで売っている温度センサー一つを用意し、サンプルプログラムを動かすだけで完成だ。
[画像のクリックで拡大表示]

単体で完結する手軽さは従来製品とは一線を画す

 Kinoma Createはスマホのアプリケーションのようにタッチ操作できる操作パネルを持ち、JavaScriptとXMLで記述したプログラムを走らせて、センサーや外部機器をドライブできる。Linux搭載の極小コンピューターと言える。各種のハードウエア機器を接続する端子が複数用意されていて、例えば、音声入力付き監視カメラや熱帯魚水槽の全自動管理、オーディオ装置の周波数特性などを計る機器を「自作」することができる。ディスプレイは320×240ドットのタッチパネルで、動画再生もできるレベルだから監視カメラを作ったなら、音声付き映像を録画・再生することもできる。

 このプロジェクトを率いているのはAppleの動画再生フレームワークであるQuickTimeを開発したPeter Hoddie氏。単体でマルチメディア再生装置にもなるという作りになっているのはやはりPeterが総監督を務めているからと思われる。

 Kinoma Createが何であるのかはPeter Hoddie氏のインタビュー記事に詳しいので、こちらを参照してほしい(関連記事:新しいデジタル機器の開発スタイルに、Webアプリ開発者を取り込みたい)。

 内蔵メモリーは128MBと限られているが、大容量のデータを保持したいというときはSDメモリーカードを装着すればよい。また、Wi-Fi内蔵だから、データをクラウドサーバーに保存させるという方針も取れる。

 これまでも名刺大の基盤にCPUやメモリー、入出力コネクターを組み込み、プログラムを流し込んでインテリジェントな動作をさせられる極小マイコンボード、例えば「Raspberry Pi」や「Arduino」など複数存在しているが、いずれも操作パネルや表示装置を使おうとすると、その部分はユーザーが別途用意してシステムを組み上げ、プログラムをそれに合わせて作り込まなければならなかった。Wi-Fi接続も基本モジュールには含まれていないので、追加の作業が必要だ。

 この種のDIYタイプのデバイスを使いこなそうとする人は本業の仕事に忙殺されながら、時間を作って取り組もうとする人が多いだろう。いわゆる、日曜プログラマーというわけだが,そういう人にとって即座にプロジェクト本来の作業に入れないのはなかなか苦痛だ。

 ところが、Kinoma Createの場合はこれら一切が手のひらに載るケースに収まっている。プログラムが書けさえすればワンクリックで即実用品完成となる。その手軽さが大いなる魅力というわけだ。これなら、ランチの間にアイデアを深めておき,時間ができたときにプログラムに取り組んで、即実行させることも可能だ。ただし、「プログラムが書けさえすれば」というところが、実は最大の難関でもある(図2)。

図2 明るさを検出するアプリを作ってみた。フォトレジスターを手で遮ると「暗い」と表示される(笑)。タダそれだけだが、これを部屋のスイッチに連動させたり、Wi-Fi接続できるアンプを制御したりして有益なシステムに発展させられる。
図2 明るさを検出するアプリを作ってみた。フォトレジスターを手で遮ると「暗い」と表示される(笑)。タダそれだけだが、これを部屋のスイッチに連動させたり、Wi-Fi接続できるアンプを制御したりして有益なシステムに発展させられる。
[画像のクリックで拡大表示]