USB端子をパソコンに挿したつもりが、うまく入らず、表裏を入れ替えて挿し直す――。誰でも経験があるUSB端子の挿入ミスは、何度も繰り返すとイライラさせられることも。しかし近い将来、こうした不満は解消されそうだ。表裏どちらでも差し込めるUSB端子の標準規格「Type-C」が登場するのだ(図1)。

●既存の主なUSB端子と新しいType-C端子
図1 小型かつ高速通信に対応した新しいUSB端子「Type-C」が登場した。Type-Cの変換アダプターの図はUSB 3.0プロモーター・グループによるType-Cの規格資料のもの
図1 小型かつ高速通信に対応した新しいUSB端子「Type-C」が登場した。Type-Cの変換アダプターの図はUSB 3.0プロモーター・グループによるType-Cの規格資料のもの
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 Type-Cは、スマートフォンなどモバイル機器にも搭載しやすい小型のUSB端子。USBの規格を定める業界団体「USB-IF(USB Implementers Forum」のUSB 3.0プロモーター・グループが2014年8月に正式発表した。Type-CのUSB端子を搭載するパソコンや周辺機器は、2015年以降に登場するとみられる。

 表裏を問わず接続できる点と、端子が小型なのが大きな特徴だ。差し込み口のサイズは幅8.4mmで高さは2.6mm。パソコンなどで使うことが多い従来のUSB端子「Type-A」と比べて、幅と高さは半分程度となる。スマートフォンや小型の周辺機器で使われているMini-B端子やMicro-B端子の大きさに近い。

100Wの電力供給に対応

 Type-Cは、小型ながらデータ転送速度が高い。最新のUSB 3.1規格に対応しており、最大10Gbpsのデータ転送ができる。差し込み口に表裏12本ずつ、計24本の電極を設けることで、データ転送の高速化と表裏の両対応を実現させている。これに対して、従来のMini-B端子やAndroidのスマートフォンやタブレットなどで良く使われている小型タイプのMicro-B端子は、端子や差し込み口の電極が5つだけで、最大で480Mbpsと、データ転送は低速だ。

 Type-Cは最大100Wまで電力供給ができるUSB Power Deliveryにも対応できるという。例えば、大型の高画質ディスプレイをUSBケーブル1本だけでつなぎ、映像データと電源を送るといった使い方が想定できる。1万回の抜き挿しができる耐久性も持たせている。