「プロ棋士の中位以上の実力があると認めざるを得ない――」。プロ棋士とコンピューター将棋ソフトが対戦する「第3回将棋電王戦」の終了直後、日本将棋連盟の谷川浩司会長は、将棋ソフトの強さをこう評した。

 2012年に始まった電王戦は、今回が3年目。初めて現役棋士が将棋ソフトと団体戦を戦った昨年の第2回は、プロ棋士が1勝3敗1分と負け越している。今回、挑戦者の立場となった日本将棋連盟は「話題性があり、勝てるメンバーを集めた」(片上大輔理事)。第3回に参戦したプロ棋士5人の平均勝率は65.2%と、第2回(平均勝率58.8%)よりも高く、屋敷伸之九段、森下卓九段の2人は、ともに順位戦A級経験者。経験・実績とも、前回を上回る布陣を敷いた。

事前の練習対局も可能に

 第3回では、人間に配慮した条件変更もあった。

 最大の変更が、指定のパソコン1台でソフトを動作させるというルール。以前は消費電力しか制限がなく、第2回電王戦で三浦弘行八段(当時)を破った「GPS将棋」は、679台のパソコンによる並列処理で、毎秒2億7000万局面を読むことができた。これが新ルールでは、どのソフトも数百万局面ほどに抑えられた。

 また、プロ棋士側は対局前の数カ月間、本番で対戦するソフトとの練習対局が可能になった。第3局の豊島将之七段は1000局近い練習対局をこなしたという。さらに人間の疲労を考慮し、持ち時間が5時間に増え、夕食休憩が追加された。